2013 Fiscal Year Research-status Report
松果体メラトニンによる副腎ホルモン合成・分泌への影響とその分子機序の解明
Project/Area Number |
25461388
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
稲垣 兼一 岡山大学, 大学病院, 講師 (80549882)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メラトニン / 副腎皮質 |
Research Abstract |
メラトニンは松果体から分泌され日内リズム調節に寄与するが、副腎皮質に対する直接的な影響については明らかでない。私たちは副腎皮質ステロイド合成細胞モデルとしてヒト副腎癌由来細胞株H295R細胞を使用し副腎皮質ステロイド合成におけるメラトニンの影響について検討した。まず濃度勾配をつけたメラトニンをH295R細胞培養液に添加し、コルチゾール・アルドステロンの基礎分泌及びACTH・アンギオテンシンII・カリウム刺激による分泌に対する影響をラジオイムノアッセイにて検討した。またステロイド合成酵素(P450scc, CYP11B1, CYP11B2など)のmRNA発現変化をリアルタイムPCRにて検討した。その結果、メラトニンはアルドステロンの基礎分泌には影響を与えなかったが、ACTH刺激下でメラトニンはアルドステロン分泌を増加し、これはアクチビン処理によりさらに増幅した。一方、メラトニンはアンギオテンシンIIによるアルドステロン分泌には影響を与えず、アクチビンとメラトニンの共存下でもアルドステロン分泌の増大を認めなかった。ACTHによるcAMP産生がメラトニンおよびアクチビンにより増幅したことから、メラトニンは副腎皮質細胞でcAMP-PKA経路を直接的またはアクチビンと相加的に活性化して、ACTHによるアルドステロン合成を促進することが示され、コルチゾール分泌への作用と相反する新たな作用を持つことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト副腎皮質モデル細胞を用いてメラトニンによる副腎皮質ステロイド合成への影響について検討した。その中でメラトニンは副腎皮質細胞内の局所因子であるアクチビンと協調的にアルドステロン合成を促進的に調整することが明らかとなった。これまで副腎皮質へのメラトニンの影響に関する報告は少なく、中でもアルドステロン分泌に対する作用に関する知見はこれまでになくさらなる検討が必要だが重要な結果と考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度に得た知見をより深化させるべくメラトニンによる副腎皮質ステロイド合成の調整作用についての詳細なメカニズムを細胞内シグナル伝達や自己分泌・傍分泌的細胞増殖因子との関連に着目して解明する。また副腎髄質モデル細胞を用いて髄質におけるホルモン合成に対するメラトニンの影響についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度途中より研究室の耐震工事のため仮研究室に一次移転し実験を行っているため。 26年度中に工事を終え再度研究室に戻る予定であり同年度に当初の計画通りの実験を行える見込みである。
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