2015 Fiscal Year Annual Research Report
松果体メラトニンによる副腎ホルモン合成・分泌への影響とその分子機序の解明
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25461388
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
稲垣 兼一 岡山大学, 大学病院, 講師 (80549882)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メラトニン / 副腎皮質 / 副腎髄質 |
Outline of Annual Research Achievements |
副腎髄質ホルモンであるカテコラミンは副腎皮質からのグルココルチコイドの流入によって合成・分泌が刺激される。メラトニンは松果体から分泌され日内リズム調節に寄与し、下垂体前葉ではACTH抑制・副腎皮質ではコルチゾール抑制的に作動する。メラトニンの内服が夜間高血圧に有効であり、メラトニンのコルチゾール抑制作用やカテコラミン抑制作用がこの降圧作用に関連するという報告があるが、その機序の詳細は不明である。そこで今回我々はラット褐色細胞腫細胞PC12を用いて、メラトニンの副腎髄質カテコラミン産生への影響とその機序について、細胞局所に発現する骨形成蛋白BMP-4との相互作用および副腎の皮髄連関に着目して検討した。PC12にはメラトニン受容体(MT1)の発現を認めた。メラトニンはPC12におけるカテコラミン分泌とカテコラミン合成の律速酵素であるチロシン水酸化酵素(TH)の発現を抑制し、BMP-4によるSmad経路を介したカテコラミン合成抑制を増強した。その機序としてメラトニンがBMP受容体 (ALK-2/BMPRII)の発現を増加し、抑制性Smad6/7の発現を減弱することによりSmad1/5/8のリン酸化を増強することが示された。一方でBMP-4はMT1の発現に影響を与えなかった。また、メラトニンは副腎皮質ステロイドのうちアルドステロンとアンドロゲンによるTH発現は抑制したが、デキサメサゾンによるTH発現を促進し、その機序としてメラトニンがグルココルチコイド受容体の発現を増強することが示された。これらの結果からメラトニンがBMP-4と協調的にカテコラミン合成を抑制する一方で、グルココルチコイドによるカテコラミン合成を増強するという新たな皮髄連関を介したカテコラミン調節系の存在の可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)