2014 Fiscal Year Research-status Report
三量体Gタンパク質G12/13を活性化する新規生理活性ペプチドの同定と機能解析
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25461400
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
森 美和 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 特任研究員 (50363148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 健二 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (00416223)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 内分泌 / 生理活性ペプチド / 受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の所属する研究室では、生理活性ペプチドの活性を検出するアッセイ法を新たに開発・導入することによって、数多くの新規生理活性ペプチドを継続的に発見してきた。しかしながら、ペプチドそのものの活性を指標とした新規生理活性ペプチドの発見は、研究代表者の所属する研究室で2005年に発見されたニューロメジンSが国際的にも最後であるため、現在では新しい活性測定法が求められている。一方で、近年エンドセリンB受容体やアンジオテンシン1型受容体が三量体Gタンパク質G12/13に共役することが報告されているが、G12/13シグナル伝達系の活性化の検出にはウエスタンブロット法をはじめとする煩雑な作業を要するため、このシグナル伝達系に着目したペプチド探索はこれまで困難であった。そこで本研究により、血清応答因子応答配列(SRF-RE)をプロモーター領域に導入したレポーター遺伝子を用いて簡便かつ高感度なG12/13シグナル伝達系のハイスループット活性測定法を新たに開発した。また、この活性測定系をオーファン受容体の内因性リガンド探索に適用する過程で、ある種のオーファン受容体がG12/13シグナル伝達系を恒常的に活性化していることを見出した。本年度は、ヒト肝癌細胞HepG2細胞に内在的に発現しているG12/13共役GPCR とG12/13に共役すると予想される2種類のオーファンGPCRに対して新規に開発した活性測定法を適用することにより、新規生理活性ペプチドの探索を実施した。また、GPCR発現によるG12/13の恒常的活性化の抑制(インバースアゴニスト活性)を評価する新規アッセイ法の開発を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト肝癌細胞HepG2に血清応答因子応答配列(SRF-RE)のレポーター遺伝子をトランスフェクションにより導入し、脳や脊髄、消化管など生理活性ペプチドを豊富に含む組織から抽出したペプチド画分を反応させた後にレポーター活性を測定することにより、この細胞に内在的に発現している任意のG12/13共役GPCRに対する(新規)ペプチド性リガンドの探索を実施している。また、G12/13に共役すると予想される2種類のオーファンGPCR のcDNAをSRF-REレポーター遺伝子と共にそれぞれHEK293細胞へ導入して組織抽出ペプチド画分を反応させることにより、内因性アゴニストとなる新規生理活性ペプチドの探索を実施している。これらに加えて、別の2種類のオーファンGPCRの内因性リガンド探索の準備として、これらの受容体の過剰発現系を構築するとともに、発現組織を解析した。 一方、昨年度に特定のオーファン受容体(仮名GPRX)が恒常的にG12/13シグナル伝達系を活性化する基礎活性を持っていることを示し、未知の内因性リガンドがインバースアゴニストとしても機能する可能性を示した。故に、GPRXの内因性リガンドを探索するにあたり、アゴニスト活性に加えてインバースアゴニスト活性も観察しなければならない。しかしながら、半減期が比較的長いレポータータンパク質の蓄積を評価するG12/13シグナル活性化測定法ではアゴニスト活性の検出は可能であるが、インバースアゴニスト活性の検出は難しい。そこで、キメラGタンパク質と他のセカンドメッセンジャー測定法を組み合わせて、新たにインバースアゴニスト活性測定法の開発を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに引き続き、本研究にて開発したG12/13シグナル伝達系の活性化測定法を駆使して新規生理活性ペプチドの発見を目指す。オーファンGPCRの内因性リガンド探索ではこれまで2種類を対象にしてきたが、さらに別の2種類を追加する。また、これまでアッセイには組織から抽出したペプチド画分を供してきたが、これらの試料にはエンドセリンのように構成的分泌経路を経て産生されるペプチドはほとんど含まれていないと推測される。過去にはエンドセリンが血管内皮細胞の培養上清から精製・同定されているため、本研究でも各種培養細胞の培養上清から粗精製したペプチド画分を試料としてアッセイに供する。 一方、G12/13シグナル伝達系のインバースアゴニスト活性も評価することができる新たなアッセイ系を開発して、G12/13シグナル伝達系を恒常的に活性化しているGPRXの内因性リガンド(アゴニストもしくはインバースアゴニスト)の探索を実施する。
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Causes of Carryover |
次年度に使用する予定の研究費は、主に旅費及び謝金として計画していたものである。しかし、研究の進捗状況からこれらの全額を使用する必要がなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度は物品費として使用する予定である。本研究計画では、国立循環器病研究センターの保有する共同研究機器ならびに、国立循環器病研究センター研究所生化学部の機器を中心に使用するため、研究を遂行するための物品費(消耗品)を中心として研究費の使用を計画している。
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