2013 Fiscal Year Research-status Report
Ph陽性急性リンパ性白血病のチロシンキナーゼ阻害剤抵抗機序の解析と克服
Project/Area Number |
25461404
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 健 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70333606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 雄介 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30333503)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Leukemia / BCR-ABL / Drug Resistance |
Research Abstract |
Ph陽性白血病はチロシンキナーゼ阻害剤の有用性が確立した疾患である。慢性骨髄性白血病では長期的な効果が期待出来、一部の症例では薬剤を中止しても再発が認められない。一方、Ph陽性急性リンパ性白血病ではチロシンキナーゼ阻害剤の効果は短期間に限定され、高率に再発する。 申請者らは、蛍光タンパクと蛍光共鳴エネルギー移動の原理を応用し、Ph陽性白血病の分子標的治療における高感度な薬剤感受性試験を開発した(Mizutani T, Kondo T et al. Clin. Cancer Res. 2010)。本研究ではFRETの技術を用い、Ph陽性急性リンパ性白血病ではチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性を示す細胞群が存在する事を見いだした。本研究ではFRETで同定されるチロシンキナーゼ阻害剤抵抗性に焦点を当てて、薬剤感受性細胞に混在している薬剤抵抗性細胞の遺伝子プロファイルを明らかにすることで、薬剤耐性に関与する分子を同定し、その機序を解明することで耐性克服への応用を目指す。 現在までに、薬剤感受性細胞群と抵抗性細胞群の遺伝子発現の違いをマイクロアレイにてスクリーニングすることで、細胞内代謝、細胞内シグナルなどの分子を同定している。TKI抵抗性細胞群において、発現上昇を認めている細胞内タンパク修飾酵素システムを同定した。興味深いことに、本酵素は、in vitroの実験系でBCR-ABLと会合することが示され、BCR-ABLへの機能修飾を行う可能性が示唆された。本酵素には低分子化合物阻害剤が存在するため、この阻害剤をPh陽性細胞株に作用させた所、効率的に細胞死が誘導されることを確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロアレイによるスクリーニングでは多数の遺伝子が変動しており、候補遺伝子の絞り込みに苦慮したが、現在、焦点を当てている分子については、これまでは当初の仮定通りの結果が得られてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、本酵素系が治療の標的となりうるかどうかを、単剤での効果、および、チロシンキナーゼ阻害剤と協調作用をするかどうかを検討する。また、細胞死を誘導する分子メカニズムの解明を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
交付金の使用に関しては、概ね予定通りの支出であった。主たる経費は試薬、消耗品の購入に充てられたが、16,217円の額が端数として生じた。本金額では、必要試薬には不足する額であり、このために次年度使用額として生じた。 次年度交付金と合わせて必要試薬の購入に充てる予定である。
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