2014 Fiscal Year Research-status Report
転写後調節因子TFLによるB細胞リンパ腫発症メカニズムの解明
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25461421
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
皆川 健太郎 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80432574)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 転写後調節分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はリンパ腫の形質転換の際に新規の分子TFLを同定した。TFLは細胞内に局在しRNA制御を行うことが知られている。TFLは転写後調節因子と呼ばれ、転写因子とともに数多くの蛋白質の発現を調節している。ことにRNA制御においては転写因子と異なり微妙な蛋白発現調節を行っていると考えられている。われわれはTFLがサイトカインの制御を行っていることを見出した。また、マウスモデルではTFLがIL-17を制御することで脳炎の発症を遷延させることも発見した。すなわち、TFLは炎症に応答し、発現誘導され、炎症をスムーズに鎮静化する役割があると考えられている。興味深いことに、これらTFLの遺伝子欠損はリンパ腫患者でも認められ、予後の悪いリンパ腫症例でTFLの発現低下が認められる。この炎症調節分子であるTFLがどのようにリンパ腫の予後にかかわってくるのかを検討すべく、現在研究中である。リンパ腫を発症させるモデルマウスでの検討において特定の細胞集団において網羅的解析を行い、すでにいくつかの標的分子を同定した。それらの分子については細胞内での制御メカニズムの詳細を現在検討している。またTFLと実際のリンパ患者の検体との評価も予定している。TFLが制御しうる分子について、免疫染色にてTFLの発現低下との相関を検討できればと考えている。TFLのリンパ腫における役割が明らかになれば治療に大きく貢献できるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでにいくつかのリンパ腫発症にかかわる分子を特定しその分子機構解明に着手できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は患者検体を含めた免疫染色などの検討を進めていきたい。臨床検体の使用に際してはすでに倫理委員会などで承認済みであるが、適宜更新を行い問題なく研究が進められるように留意する。
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Causes of Carryover |
当初の計画どうりに研究は進んでいるが、次年度も引き続き当該研究の遂行が必要であるため、助成金の使用を次年度に繰り越した。翌年度分の助成金と合わせて、研究をおこなっていく。翌年度は本年度に得られた知見を元に更なる分子メカニズムの解明と患者検体を使用した免疫染色の検討などを予定している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主な使用用途は実験試薬などの消耗品である。さらに論文作成費や情報収集や研究成果発表のための学会参加費なども助成金の使用に含まれる。
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Research Products
(2 results)