2014 Fiscal Year Research-status Report
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25461425
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
木村 晋也 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 寧 佐賀大学, 医学部, 講師 (60570413)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 慢性骨髄性白血病 / 低酸素 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、薬剤耐性や再発の原因となる低酸素への適応によって白血病幹細胞的性格を獲得する慢性骨髄性白血病(CML)細胞の性状を明らかにし、その殲滅を可能とする薬剤の探索である。H25年度に見出した、これまで溶媒として用いられてきた2-hydroxypropyl-β-cyclodextrin (CyD)に、そのもの自身に抗腫瘍作用があるという現象について in vivo 研究も加え更に詳細に検討した。そして、1) CML細胞を含む白血病細胞は、正常細胞よりコレステロール含有量が高く、2) CyDは、白血病細胞からコレステロールを抜くことによってアポトーシスを来す、3) このCyDの効果は、低酸素適応によってCML幹細胞様形質を獲得したCML細胞にも同様に認められる、4)CML細胞移植マウスモデルの生存期間を CyDは有意に延長する、ことを明らかにした。本成果を PLoS One に投稿し、現在リバイズ中である。 さらに幹細胞性を獲得するのには低酸素適応だけでは不十分であると考え、間質細胞との相互作用についても研究を進めた。そして特に破骨細胞との直接接着が、薬剤耐性に重要であることを見出した。In vitro において破骨細胞の周囲に接着した CML細胞は、ABLチロシンキナーゼ阻害剤ニロチニブに対して高い耐性を示すが、ゾレドロン酸暴露によって破骨細胞を破壊するとニロチニブに対する感受性が回復することを発見した。本成果は、現在論文作成中である。 また低酸素適応によって発現レベルの変化が最も激しい TRPC-1については、分与された TRPC-1ヘテロノックアウトマウス(KO)から、ホモ KO マウスの樹立を行った。まずTRPC-1 KOマウスの正常造血幹細胞の性状について解析を行った。現在までのところ、幹細胞性について明らかな形質の変化は認めていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
低酸素耐性を獲得し幹細胞様形質を示すCML細胞に対してもCyDが効果を示すことを発見したことに関しては、論文投稿も行っており、概ね順調に進している。また低酸素に関する研究の途上、破骨細胞の影響を明らかにした点も論文作成中であり、これもおおむね順調に進展している。しかし低酸素適応で発現が増加する TPRC-1については、いまだ幹細胞性について KOマウスで明らかな形質を見出すことができておらず、やや遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず現在リバイズ中であるCyDに関する研究の追加実験を完遂し、PLoS One での掲載を目指す。また作成途中の破骨細胞の影響について不足している実験を遂行する。TRPC-1については、2次3次移植を行い、さらに幹細胞性に関して詳細な実験を行い、形質の変化がないか検証していく。
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