2015 Fiscal Year Annual Research Report
血液腫瘍におけるPVT1再構成と相手遺伝子の分子細胞遺伝学的解析ならびに臨床応用
Project/Area Number |
25461432
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
谷脇 雅史 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80163640)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 8q24増幅 / 急性骨髄性白血病 / PVT1遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
難治性骨髄性白血病における新規ゲノム異常を解析してきた.8q24染色体増幅を示すマーカー染色体を有する急性骨髄性白血病(AML)の1例,AML 39例,骨髄異形成症候群(MDS)1例,白血病細胞株HL60,KG1,K562を対象とした.方法は,G染色による染色体分析,spectral karyotyping (SKY),fluorescence in situ hybridization,オリゴヌクレオチドアレイ,RT-PCR,RQ-PCR,bubble PCR,塩基配列決定法,ウエスタンブロット,免疫組織化学を用いた.難治性AMLとHL60で8q24増幅を認め,NSMCE2再構成による2種類のキメラmRNA,PVT1-NSMCE2とBF104016/CCDC26-NSMCE2を同定した.RT-PCRによるスクリーニングの結果,AML 1例とK562でPVT1-NSMCE2を検出したが,BF104016 -NSMCE2は検出されなかった.HL60のウエスタンブロット解析では,NSMCE2蛋白質発現が正常骨髄より若干亢進していたが,KG1と比較して発現増強は認められなかった.免疫組織化学では,NSMCE2蛋白質発現は単球と巨核球の細胞質で強陽性であり,AML症例では正常骨髄に比較して発現亢進は認められなかった. 非翻訳遺伝子と翻訳遺伝子で形成されるこれらのキメラmRNAの未知の重要な機能が示唆される.また,PVT1,CCDC26,NSMCE2は全て8q24に存在する遺伝子であり,増幅にともなうキメラ遺伝子の形成機構としてchromothripsis(クロモスリプシス)が考えられた.以上の結果は,白血病発生に関与する新しい分子機構を解明する手がかりとなり得ると考えられる.
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Research Products
(2 results)