2013 Fiscal Year Research-status Report
Azacitidine耐性機序の解明に基づく新たな急性白血病治療戦略の確立
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25461435
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
永井 正 自治医科大学, 医学部, 准教授 (40237483)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Azacitidine / Uridine-cytidine kinase / THP-1 / HL60 / 5-aza-2-deoxycytidine |
Research Abstract |
Uridine-cytidine kinase 2 (UCK2)は、細胞内におけるAzacitidine (AZA)活性化プロセスの律速酵素である。本年度はUCK2の異常とAZA耐性との関連について検討した。ヒトAZA耐性白血病細胞株(THP-1/AR、HL60/AR)およびそれぞれの親株であるAZA感受性のTHP-1、HL60細胞を用いて、UCK2遺伝子変異の有無について検討した。RT-PCR法によりUCK2 cDNAの全長を増幅し、Direct Sequence法で塩基配列を確認したところ、exon 4およびexon 5領域に両細胞株に共通の4箇所の点変異を認めた。次に、この4箇所の変異を有するUCK2 cDNAをpLL3.7 レンチウイルスベクターに挿入し、変異UCK2遺伝子発現ベクターを構築した。変異UCK2を発現させたTHP-1細胞では、AZAによるアポトーシス誘導が抑制され、AZAに対するIC50値の増加を認めた。一方、野生型UCK2遺伝子の発現ベクターをTHP-1/ARに導入したところ、AZAによるアポトーシス誘導が回復し、AZAに対するIC50値の有意な低下を認めた。このことから、UCK2遺伝子変異によるUCK活性の低下がAZA耐性に関与しているものと推察された。 THP-1/ARおよびHL60/AR は5-aza-2-deoxycytidine (DAC)に対して交差耐性を示す。そこで、DAC 活性化プロセスの律速酵素であるdeoxycytidine kinase (DCK)遺伝子の変異について検索した。しかしながら、両細胞株ともにDCK蛋白発現量の増加はなく、また複数のDCK遺伝子変異が同定されたものの、全てDCK活性には影響しないと既に報告されているものであった。従って、DACとの交差耐性はDCKより下流の障害に起因すると推定される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AZA耐性細胞株におけるUCK2遺伝子変異の存在、および変異によるAZA感受性低下をin vitroの実験系で示すことができた。Xenograft modelでの確認は未施行であるが、UCK2遺伝子変異がAZA耐性に関与することを明らかにするという当初の目標を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
AZA耐性細胞株におけるUCK2遺伝子変異の存在を明らかにすることができた。次のステップとして、AZA耐性骨髄異形成症候群および芽球比率の少ない急性骨髄性白血病患者からの骨髄細胞を用いてUCK2遺伝子変異の有無について検討し、実際のAZA耐性臨床症例におけるUCK2遺伝子変異の関与について明らかにしたい。また、AZA耐性を克服する低分子治療薬をスクリーニングする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画では、変異UCK2を発現したTHP-1細胞をBalb/c AJcl-nu/nuマウスに皮下注射して皮下腫瘤を形成させ、AZAに対する耐性をXenograft modelで確認する予定であった。しかしながら、in vitro研究に時間を要したため、Xenograft modelを用いた実験は平成26年度に延期となり、そのため、研究費の繰り越しを必要とした。 1) 変異UCK2を発現したTHP-1細胞によるXenograft model 作成のためのBalb/c AJcl-nu/nuマウス、2) UCK2発現ベクターを細胞に遺伝子導入するための試薬、および3) 細胞株培養のための培地、血清の購入費に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)