2013 Fiscal Year Research-status Report
成人T細胞白血病の骨浸潤における破骨細胞の新しい機能の解明と新規治療法の開発
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25461440
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
水上 拓郎 国立感染症研究所, その他部局等, 室長 (60415487)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 成人T細胞白血病 / 癌幹細胞 / 破骨細胞 / カルシウム血症 |
Research Abstract |
成人T細胞白血病はHTLV―1の末梢T細胞への感染によって引き起こされる腫瘍性疾患である。様々な病型がある が、ATLの70%に高カルシウム血症が認められている。これはATL細胞が分泌するPTHrPの作用によって引き起こさ れると考えられてきたが、我々はATLモデルマウスを用い、ATL癌幹細胞の定着・増殖・ニッチ形成に破骨細胞が 重要な機能を有している事を明らかにし、破骨細胞阻害剤を用いる事で、骨髄におけるATL浸潤と骨病変を抑制 する事に成功した。 そこで、破骨細胞の役割をより詳細に検討にする目的で、ATL癌幹細胞の定着・増殖過程に おいてどのようなメカニズムで破骨細胞が誘導されるのか、FACS及びイメージングを用いて解析する。また、破骨細胞阻害剤の作用機序についても詳細に解明し、ヒトへの応用を目指す事を目的とする。 本年度は、ATL形成時における破骨前駆細胞及び破骨細胞の分化機構の解明 GFP陽性ATL細胞を用い、ATLの初期形成期(16時間後-3日後)、定着期(7日-14日)、急性期(14日-25日)の3 時期の骨髄組織より細胞を分取し、各時期の単核球(MNCs)を分離し、MCSF, RANKL存在下での破骨細胞分化アッ セイを行い、破骨細胞数をin vitroで定量・検討した。また、各時期の骨切片を作製し、イメージング技術を用い、その局在、細胞数を明らかにすると共に、MMP9やCathepsin Kの発現を指標とし、破骨細胞の活性を明らかにした。その結果、移植後3日以内に既に、破骨細胞の前駆細胞の増加を認め、定着期に向けて増殖傾向を示した。以上のことから、破骨細胞の分化が、ATLの定着とリンクしている事を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ATL形成時における破骨前駆細胞及び破骨細胞の分化機構の解明 GFP陽性ATL細胞を用い、ATLの初期形成期(16時間後-3日後)、定着期(7日-14日)、急性期(14日-25日)の3 時期の骨髄組織より細胞を分取し、各時期の単核球(MNCs)を分離し、MCSF, RANKL存在下での破骨細胞分化アッセイを行い、破骨細胞数をin vitroで定量・検討した。また、各時期の骨切片を作製し、イメージング技術を用い、その局在、細胞数を明らかにすると共に、MMP9やCathepsin Kの発現を指標とし、破骨細胞の活性を明らかにした。これは予定通り実施された。現在、血液中の各種誘導因子の解明を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
破骨細胞分化能を持つ細胞集団の同定 ATLにおいて骨髄で破骨細胞が増える局所的なメカニズムは不明である。そこで、先ず、ATL形成の3時期(初 期形成過程、定着期、急性期)の骨髄よりATL細胞分画であるGFP陽性の1)GFP+ATL癌幹細胞分画、2)GFP+非ATL癌 幹細胞分画、ATL細胞以外の通常血液細胞である3)GFP-/CD45+細胞分画、4)GFP-/CD45-/Ter119-/CD31+細胞(血管 内皮系)、4)GFP-/CD45-/Ter119-/CD31-/ALCAM+/Sca-1-細胞(骨芽細胞系)を分離し、通常マウス骨髄より分離し た破骨前駆細胞と共培養することで、それぞれの細胞分画における破骨細胞誘導能を検討し、ATL癌幹細胞の定 着に伴う破骨細胞の誘導に関わる細胞集団を特定する。 ATL癌幹細胞は造血幹細胞と一部共通の遺伝子発現プロファイルを有している。特に、Tie2-Ang1シグナルや、 TPOシグナルなど、造血ニッチも共有している可能性が示唆されている(2011年日本血液学会発表)。そこで、A TL癌幹細胞の定着には、造血幹細胞との競合が予想される。そこで、ATL浸潤に伴う破骨細胞の増加が通常造血 に与える影響について検討する。GFP陽性ATL細胞を用い、ATLの初期形成期(16時間後-3日後)、定着期(7日-14 日)、急性期(14日-25日)の3時期の骨髄、脾臓、末梢血より細胞を分取し、各時期の単核球(MNCs)を分離し 、GFP陰性CD45+細胞を分離し、1x105細胞当りのコロニー形成能を各時期、各組織において比較すると共に、造 血幹細胞(CD34-/Kit+/Sca-1+/Lin-)細胞の割合を、フローサイトメトリーを用いて解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
過去のサンプルを再評価しつつ実験を開始したため、実験開始が遅れ、まだ解析中のものが多いため。 年度初頭に予定通り残額を使用し、次年度の実験計画を推進する。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Degenerate polymerase chain reaction strategy with DNA microarray for detection of multiple and various subtypes of virus during blood screening.2013
Author(s)
Takizawa K, Nakashima T, Mizukami T, Kuramitsu M, Endoh D, Kawauchi S, Sasaki K, Momose H, Kiba Y, Mizutani T, Furuta RA, Yamaguchi K, Hamaguchi I.
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Journal Title
Transfusion
Volume: 10 Pt2
Pages: 2545-2555
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] The Osteoclast Targeting Therapy In Bone Metastasis For a Mouse Model Of Adult T Cell Leukemia2013
Author(s)
Takuo Mizukami, PhD1*, Kazuya Takizawa, PhD1*, Jumpei Yamazaki, PhD2*, Wakako Kuribayashi3*, Madoka Kuramitsu, PhD1*, Ryuji Hiramatsu, PhD1*, William W Hall, MD, PhD4*, Hideki Hasegawa, MD, PhD5*, Kazunari Yamaguchi, MD, PhD1* and Isao Hamaguchi, MD, PhD1
Organizer
55th Annual Meeting of American Society of Hematology
Place of Presentation
New Orleans
Year and Date
20131207-20131210
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[Presentation] The role of osteoclast in the leukemic stem cell niche using a mouse model of adult T cell leukemia2013
Author(s)
Takuo Mizukami, Kazuya Takizawa, Wakako Kuribayashi, Ryuji Hiramatsu, Madoka Kuramitsu, Haruka Momose, Jumpei Yamazaki, William W Hall, Hideki Hasegawa, Kazunari Yamaguchi, Isao Hamaguchi
Organizer
日本血液学会
Place of Presentation
北海道
Year and Date
20131013-20131013
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