2013 Fiscal Year Research-status Report
悪性リンパ腫における個別化治療-NFκB刺激と周囲T細胞補助刺激シグナルとの関連
Project/Area Number |
25461442
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
小林 幸夫 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 外来医長 (50240734)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前島 亜希子 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (90342906)
棟方 理 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (80601319)
福原 傑 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (70445295)
野本 順子 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 特任研究員 (30601322)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | MALTリンパ腫 / ホジキンリンパ腫 |
Research Abstract |
A20遺伝子はNFkB経路の負の調節因子であり、変異に伴うtruncationが生じることにより、NFκBは恒常的活性化状態となり、慢性炎症刺激で生じるMALTリンパ腫の機序が説明できた。最近報告されたB細胞受容体(BCR)、MyD88遺伝子変異でもNFκBシグナルを活性化がさせるので悪性リンパ腫の普遍的なシグナル異常と考えられる。 この遺伝子の機能欠失型変異はMALTリンパ腫の21.8%,に認められ、FICTION方を行うことにより19例で欠失が観察された。ことに、5例では両アレルが欠失していた。 近年、腫瘍細胞および腫瘍周囲でのT細胞の認識機序の破綻がホジキンリンパ腫と縦隔型びまん性大細胞B細胞リンパ腫で知られており、腫瘍細胞でのClass II遺伝子の発現低下、抑制性シグナルのCD273, 274の発現例があることが知られてきた。 本研究ではA20遺伝子異常をはじめとするNFκB 関連の遺伝子異常とCIITA遺伝子異常,周囲のPD1陽性T細胞の浸潤の関連を調べ、NFκB異常例とCIITA遺伝子異常、周囲のPD1陽性細胞数の増加、CD25陽性細胞であるTregの浸潤細胞の多寡、血清マーカーsIL2Rなど免疫監視機構以上のある例との相互の関連を調べる。 BCR阻害を始めとするNFkBの阻害剤、およびPD1に対する抗体は他がん腫での臨床応用が進んでおり、いずれ、他がん腫で使用承認されると考えられるが、悪性リンパ腫では散発的な有効例の報告が存在するのみであり、バイオマーカーとしての意義は確立していない。これらを整理することは、悪性リンパ腫の治療の個別化につなげられると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
42例のホジキンリンパ腫でCIITA遺伝子異常は認められなかった。NLPHLが4例、NSが38例であった。NLPHLではすべて、PD1陽性細胞が多く50%以上の陽性率であり、かつ全例ロゼッタを形成していた。NSでは、19例が陽性であった。陽性例のうち、4例ではホジキン細胞を取り囲むように存在するロゼッタの形成が認められた。PD1陽性細胞が多寡に影響する因子として、CD30陽性率(低い)が統計学的に抽出された。 CD25陽性細胞であるTregの浸潤細胞は、17例で多く、CD68陽性細胞は15例で多かった。A20遺伝子の欠失していたのは調べられた35例中14例であり、現在までのところ、PD1陽性細胞の多寡との相関は認められていない。 他のB細胞性腫瘍の含めてNFκB関連の遺伝子異常が調べられ、第6番染色体長椀に存在するBlimp1とA20遺伝子の両者を同時に欠失を見る系で検討し、多くの腫瘍では両者ともに欠失していることが確認されたが、MALTリンパ腫だけはA20のみの欠失例が目立った。 以上の検討はこれまでは、各免疫染色を各検体で施していたが、high-through putで行うために、Tissue microarrayを作成し、また、2重染色の系を作成した。手始めにさまざまなT細胞性腫瘍で、抑制性シグナルの発現有無を検討した。
|
Strategy for Future Research Activity |
病態とA20遺伝子、CIITA遺伝子異常の有無と周囲のT細胞のPD1の発現との関連の検討を行う。すなわち、A20遺伝子異常が生じている悪性リンパ腫の亜型ごとの頻度を求める。DLBCLでも一部では明らかに慢性炎症と関連している。慢性関節リューマチに発症するDLBCL、あるいはB型、C型肝炎に合併するDLBCLでのこの遺伝子の異常頻度の有無も検討する。 CIITA遺伝子異常有無、周囲の細胞のPD1発現の有無を亜型ごとの頻度を求め、相関を検討する。 PD1染色陽性細胞が周囲に存在する場合は、腫瘍細胞が周囲の免疫細胞から認識されていない可能性がある。この状態はCIITAが転座の結果機能欠失した場合と同様の効果となるので、相互に排他的であることを予想している。B細胞腫瘍化のためにはA20失活で代表されるNFκB刺激伝達系の異常と免疫監視機構から免れることとの双方が必要なのか、一方で十分条件となるかどうか臨床検体で検討する。近年、周囲のCD25陽性細胞であるTregの浸潤細胞の多寡を反映する血清マーカーsIL2Rとの相関を検討する。 さらに新規治療薬の感受性バイオマーカーとしての検討を行う。NFκB阻害剤としてのプロテオゾーム阻害剤に対してはNFκBの関連する遺伝子発現を見ることで有効性が予測可能となると考えられる。NFκBの関連する腫瘍ではSyk, BTKの阻害剤、CD79b抗体などBCRのシグナルの阻害剤が開発されており、有効となり得るが、A20遺伝子ではその抑制性のシグナルなので、その変異例で無効でないかどうかを検討する。 T細胞からの監視を逃れていると考えられる腫瘍では。抗PD1抗体,PD-L1抗体が治療薬と応用可能である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
検体収集、整理等、事務作業が多く、免疫染色などの試薬の購入は、26年度に必要となった。 論文化が遅れたため、学会発表は26年度にすることとした。 症例数は予定より増やして検討する。T細胞性腫瘍でも明らかにNFkb関連の遺伝子異常があることが示され、さらに免疫監視チェックポイントであるPD1, PDL1が発現例があるので、追加して検討する。 試薬費用は、同様の分子生物学的試薬として使用され、抗体、オリゴマー作成、シークエンスなどの費用としてそのまま使用する予定である。
|
Research Products
(11 results)
-
[Journal Article] Normal karyotype acute myeloid leukemia with the CD7+CD15+CD34+HLA-DR+immunophenotype is a clinically distinct entity with a favorable outcome.2014
Author(s)
Iriyama N, Asou N, Miyazaki Y, Yamaguchi S, Sato S, Sakura T, Maeda T, Handa H, Takahashi M, Ohtake S, Hatta Y, Sakamaki H, Honda S, Taki T, Taniwaki M, Miyawaki S, Ohnishi K., Kobayashi Y, Naoe T.
-
Journal Title
Ann Hematol.
Volume: -
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Follow-up Data of 10 Patients With B-cell Non-Hodgkin Lymphoma With a CD20-negative Phenotypic Change After Rituximab-containing Therapy.2013
Author(s)
Maeshima AM, Taniguchi H, Fukuhara S, Morikawa N, Munakata W, Maruyama D, Kim SW, Watanabe T, Kobayashi Y, Tobinai K, Tsuda H.
-
Journal Title
Am J Surg Pathol
Volume: 37
Pages: 563-570
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Phase 2 study of arsenic trioxide followed by autologous hematopoietic cell transplantation for relapsed acute promyelocytic leukemia.2013
Author(s)
Yanada M, Tsuzuki M, Fujita H, Fujimaki K, Fujisawa S, Sunami K, Taniwaki M, Ohwada A, Tsuboi K, Maeda A, Takeshita A, Ohtake S, Miyazaki Y, Atsuta Y, Kobayashi Y, Naoe T, Emi N.
-
Journal Title
Blood
Volume: 121
Pages: 3095-3102
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Ewing Sarcoma Arising After Treatment of Diffuse Large B-cell Lymphoma.2013
Author(s)
Hiramoto N, Kobayashi Y, Nomoto J, Maruyama D, Watanabe T, Tochigi N, Furuta K, Takeda K, Chuman H, Yagyu S, Hosoi H, Tobinai K.
-
Journal Title
Jpn J Clin Oncol.
Volume: 43
Pages: 417-421
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
[Journal Article] Epstein-Barr virus-associated enteropathy as a complication of infectious mononucleosis mimicking peripheral T-cell lymphoma.2013
Author(s)
Tamura S, Maruyama D, Miyagi Maeshima A, Taniguchi H, Kakugawa Y, Mori M, Azuma T, Kim SW, Watanabe T, Kobayashi, Y, Tobinai K.
-
Journal Title
Intern Med.
Volume: 52
Pages: 1971-1975
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] The demarcation between younger and older acute myeloid leukemia patients: A pooled analysis of 3 prospective studies.2013
Author(s)
Yanada M, Ohtake S, Miyawaki S, Sakamaki H, Sakura T, Maeda T, Miyamura K, Asou N, Oh I, Miyatake J, Kanbayashi H, Takeuchi J, Takahashi M, Dobashi N, Kiyoi H, Miyazaki Y, Emi N, Kobayashi Y, Ohno R, Naoe T; Japan Adult Leukemia Study Group.
-
Journal Title
Cancer.
Volume: 119
Pages: 3326-3333
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] A retrospective study of 5-year outcomes of radiotherapy for gastric mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma refractory to Helicobacter pylori eradication therapy.2013
Author(s)
Abe S, Oda I, Inada K, Suzuki H, Yoshinaga S, Nonaka S, Morota M, Murakami N, Itami J, Kobayashi Y, Maeshima AM, Saito Y.
-
Journal Title
JPN J Clin Oncol.
Volume: 43
Pages: 917-922
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Prognostic implications of histologic grade and intensity of Bcl-2 expression in follicular lymphomas undergoing rituximab-containing therapy.2013
Author(s)
Maeshima, A.M, Taniguchi H, Nomoto J, Miyamoto K, Fukuhara S, Munakata W, Maruyama D, Kim SW, Watanabe T, Kobayashi Y, Tobinai K, Tsuda H.
-
Journal Title
Hum Pathol.
Volume: 44
Pages: 2529-2535
DOI
Peer Reviewed
-