2014 Fiscal Year Research-status Report
抗炎症性分泌蛋白Sfrp5のBリンパ球抑制機序と胎児母体間免疫寛容への関与
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25461450
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福島 健太郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 招へい教員 (70546879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金倉 譲 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20177489)
横田 貴史 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60403200)
織谷 健司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70324762)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リンパ球の分化・増殖 / 免疫寛容 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳動物にとって妊娠は、非自己の組織が体内に長期間存在する異常な状態であり、その維持のために母体は自らの免疫系を大きく変容させる。申請者らは、母体の胎児に対する免疫寛容の誘導メカニズムを明らかにすることを目標とし、女性ホルモンの骨髄間質細胞を介した作用に着目して解析を行った。その結果、女性ホルモン(エストロゲン)刺激後の骨髄間質細胞において、Wntシグナルの調節分子soluble Frizzled-related protein (SFRP)が高発現することを見出した。そこで本研究では、SFRP過剰発現マウスを作製し解析を行った。SFRPはWntシグナルの変化を介して胎児の発生に影響を与える可能性があったため、生後数週目から目的蛋白が循環血液中で高濃度になるように工夫したノックインマウスモデルを用いた。SFRP1とSFRP5の2種類の過剰発現マウスを作製して解析したところ、どちらのマウスも野生型と比較してBリンパ球が有意に減少していた。特にSFRP5過剰発現の方がSFRP1よりも顕著なBリンパ球減少と脾臓の縮小をきたした。この現象の分子メカニズムを明らかにする目的で、SFRP5過剰発現マウスの骨髄からリンパ系共通幹細胞を高純度で分離し、それらの遺伝子発現の特徴を野生型マウスと比較検討した。その結果、SFRP5過剰発現マウスのリンパ系共通幹細胞ではNotchシグナルが活性化していることが分かった。さらにその知見の裏付けを得るため、SFRP5ノックアウトマウスを用いた検討を行った。興味深いことにSFRP5ノックアウトマウスの骨髄中に含まれる造血幹細胞やリンパ系共通幹細胞は、エストロゲンに対する感受性が野生型よりも高かった。また、エストロゲン刺激後の遺伝子発現を検討した結果、Notchシグナルの下流に存在する遺伝子の発現に変化が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書ではSFRP過剰発現マウスの精緻な解析を初年度の目標として掲げ、2年目の目標としてSFRP5ノックアウトマウスを用いた検討を進めてSFRP5が生理的にBリンパ球抑制に関与していることを明らかにすることを掲げた。これらの研究成果は米国血液学会にて発表でき、さらに現段階までの成果をまとめた論文が2015年1月にEuropean Journal of Immunologyに受理された。マイクロアレイを用いた発現遺伝子検索から、Bリンパ球の分化障害を誘導するメカニズムとしてNotchシグナルの関与が示唆されたが、現在これらのメカニズムの関与を証明するため研究を進めている。以上の状況を総合すると,本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
SFRP5ノックアウトマウスを用いた検討を進め、SFRP5がどのような分子機構でBリンパ球系の早期分化過程を抑制しているのかを明らかにする。さらに造血幹細胞・リンパ球前駆細胞におけるSFRP5の受容体を同定することを目標に検討を進めていく計画である。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Estrogen-inducible sFRP5 inhibits early B-lymphopoiesis in vivo, but not during pregnancy2015
Author(s)
Takafumi Yokota, Kenji Oritani, Takao Sudo, Tomohiko Ishibashi, Yukiko Doi, Yoko Habuchi, Michiko Ichii, Kentaro Fukushima, Daisuke Okuzaki, Kazuma Tomizuka, Kengo Yamawaki, Makoto Kakitani, Akihiko Shimono, Eiichi Morii, Paul W. Kincade, Yuzuru Kanakura
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Journal Title
European Journal of Immunology
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant