2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25461461
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
稲葉 浩 東京医科大学, 医学部, 講師 (90183178)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 血友病 / 遺伝子 / 次世代シークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は未知血友病A発生機構を解明することを目的とし、血友病Aの責任遺伝子である第VIII因子遺伝子(F8)の一般的な解析から病因変異が検出できなった5症例を対象として研究を行った。このうち3症例についてはF8内の詳細な解析から病因変異が検出された。 1例は、末梢血幹細胞移植を受けており、そのため末梢血由来のDNAでは病因変異が検出できなかったことが判明した。口腔粘膜細胞と爪からDNAを採取してF8解析を再度行ったところ、イントロン21の3’スプライシング部位で1塩基置換(c.6,247-8A>G)が検出され、これが病因であると判定した。この解析から、体細胞モザイクなどの要因により一般的にサンプルとすることの多い血液細胞由来のDNA解析では病因が検出できない血友病A症例がある可能性が示唆された。 また別の2例では、異所性発現のmRNAの解析によりエクソン2以降が正常なスプライシングをしていることを確認し、その後の詳細な解析からイントロン1内の配列に起因するX染色体長腕内での逆位を病因とすることが解明できた。この逆位の国内での検出は初めてであり貴重な知見となった。 平成26年度以降、次世代シークエンスを導入しF8の網羅的解析を施行した。平成27年度末の段階で、病因が同定できていない2例を含む45例の血友病A症例の解析を施行し、病因未同定の2症例からはそれぞれ1か所ずつイントロンの深部に病因候補となり得る非常に稀なvariantを検出している。平成27年度は主に、これら2 variantの頻度や病因となり得る可能性について、variantの国際的なデータベースとの照合や各種バイオインフォマティクス解析を行い検討した。各variantはCombined Annotation Dependent Depletion解析において高いスコアを示し、病因変異である可能性が示唆された。
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