ペア型受容体LILRおよびLAIR遺伝子群の膠原病疾患感受性への寄与の解明

2015 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 25461467
• Research Institution: University of Tsukuba
• Principal Investigator: 川崎 綾 筑波大学, 医学医療系, 助教 (30532816)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2016-03-31
• Keywords: 疾患感受性遺伝子 / 全身性エリテマトーデス / 多型 / LILR / HLA-G

Outline of Annual Research Achievements

LILR(leukocyte immunoglobulin-like receptor)は、活性化型、抑制型、分泌型からなるペア型受容体で免疫機能の調節に関わっている。唯一の分泌型であるLILRA3には、遺伝子の大部分(6.7kb)を欠失する多型が存在する。平成26年度には、LILRA3の膠原病の疾患感受性への寄与を検討し、全身性強皮症(SSc)の解析において、自己抗体の一つである抗トポイソメラーゼ抗体陽性のSSc群でLILRA3欠失アリルが有意に増加していることを見出した。
平成27年度は、LILRA3のリガンドの一つであるHLA-Gについて解析を行った。HLA-Gは非古典的HLA-class I抗原で免疫抑制作用を有する。LILRA3のほか、免疫抑制型受容体のLILRB1、LILRB2、KIR2DL4もHLA-Gの受容体として報告されている。HLA-Gの3’非翻訳領域(UTR)には、機能的多型が存在している。一つは14bpの挿入欠失多型で、スプライシングや発現に影響する。もう一つは、miRNA結合部位に位置するSNP (rs1063320)である。いずれも全身性エリテマトーデス(SLE)を対象とした疾患関連研究において関連が報告されている。本研究では、HLA-G多型の日本人集団におけるSLE疾患感受性への寄与を明らかにするために、日本人SLEを対象とした関連研究を施行した。14bp挿入アリルは、SLE群で有意に増加していた(優性モデル、P=0.022, オッズ比1.26)。この関連は若年発症SLE群において顕著であった(加法モデル、P=0.0067、オッズ比1.44)。さらに、SLE関連アリルであるHLA-DRB1*15:01, 13:02アリルで調整後も関連が残ったことから、HLA-G 14bpとSLE若年発症との関連は、DRB1とは独立であることが示された。

Research Products

• [Presentation] 日本人全身性エリテマトーデスとHLA-G多型の関連 (2016)
  • Author(s): 川崎 綾、八谷 有紀、古川 宏、近藤 裕也、伊藤 聡、松本 功、草生 真規雄、天野 浩文、須田 昭子、長岡 章平、瀬戸口 京吾、永井 立夫、廣畑 俊成、島田 浩太、杉井 章二、岡本 享、千葉 実行、末松 栄一、大野 滋、片山 雅夫、河野 肇、髙崎 芳成、橋本 博史、住田 孝之、當間 重人、土屋 尚之
  • Organizer: 第60回 日本リウマチ学会総会・学術集会
  • Place of Presentation: パシフィコ横浜（神奈川県）
  • Year and Date: 2016-04-22
• [Presentation] Association of HLA-G and Leukocyte Immunoglobulin-like Receptor A3 Polymorphisms with the Susceptibility to Pulmonary Hyterpention in Systemic Sclerosis (2015)
  • Author(s): Yuki Hachiya, Aya Kawasaki, Takashi Matsushita, Hiroshi Furukawa, Shouhei Nagaoka, Kota Shimada, Shoji Sugii, Keigo Setoguchi, Akira Okamoto, Noriyuki Chiba, Eiichi Suematsu, Masao Katayama, Shunsei Hirohata, Hajime Kono, Kiyoshi Migita, Takayuki Sumida, Shigeto Tohma, Minoru Hasegawa, Naoyuki Tsuchiya et al
  • Organizer: The 2015 American College of Rheumatology Annual Scientific Meeting
  • Place of Presentation: Moscone Center (San Francisco, USA)
  • Year and Date: 2015-11-08
• [Presentation] LILRA4遺伝子多型と全身性エリテマトーデスの関連の検討 (2015)
  • Author(s): 川崎 綾、古川 宏、西田 奈央、近藤 裕也、伊藤 聡、松本 功、草生 真規雄、天野 浩文、須田 昭子、長岡 章平、瀬戸口 京吾、永井 立夫、廣畑 俊成、島田 浩太、杉井 章二、岡本 享、千葉 実行、末松 栄一、大野 滋、片山 雅夫、河野 肇、髙崎 芳成、橋本 博史、住田 孝之、當間 重人、土屋 尚之
  • Organizer: 日本人類遺伝学会第60回大会
  • Place of Presentation: 京王プラザホテル（東京）
  • Year and Date: 2015-10-16
• [Presentation] Association study of LILRA4 with systemic lupus erythematosus (2015)
  • Author(s): Aya Kawasaki, Hiroshi Furukawa, Yuya Kondo, Shouhei Nagaoka, Kota Shimada, Yoshinari Takasaki, Hiroshi Hashimoto, Takayuki Sumida, Shigeto Tohma, Naoyuki Tsuchiya
  • Organizer: 11th International Congress on Systemic Lupus Erythematosus
  • Place of Presentation: HOFBURG Vienna Congress Center(Vienna, Austria)
  • Year and Date: 2015-09-04
• [Remarks] 筑波大学医学医療系分子遺伝疫学研究室
  • URL: http://www.md.tsukuba.ac.jp/community-med/publicmd/GE/