2014 Fiscal Year Research-status Report
膠原病性肺高血圧症における新規治療法開発の分子基盤の構築
Project/Area Number |
25461469
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 賢忠 東京大学, 医科学研究所, 助教 (70396878)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 肺高血圧症 / 膠原病性肺高血圧症 / HEXIM1 / 右心肥大 / 右心不全 / HIF1 / VEGF |
Outline of Annual Research Achievements |
膠原病患者における主な死因の一つとして重要である肺高血圧症(PH)は、非可逆的右心肥大に引き続く致死性の右心不全を発症するいまなお予後不良の疾患であり、その克服が課題となっている。ここで、核蛋白質HEXIM1は転写伸長反応促進因子P-TEFbの活性化を抑制する分子であり、心肥大を抑制性に制御する可能性が示唆されている。申請者らは、HEXIM1の過剰発現は培養心筋細胞における、エンドセリン1誘導性の心肥大関連遺伝子の発現や細胞肥大を抑制し、低酸素飼育によるPHマウスモデルにおける右心肥大を抑制することを明らかにした。そこで、膠原病性PH-右心肥大-右心不全病態におけるHEXIM1の意義を詳細に解明し、HEXIM1を標的とした右心肥大制御に基づいた新規膠原病性PH治療法開発の分子基盤を構築することを目的とした。今回、既に確立した「低酸素誘導性PHモデルマウス」を用い、「HEXIM1は、低酸素条件下で誘導される低酸素誘導因子HIF-1αの蛋白発現量やその標的遺伝子であるVEGFなどの遺伝子発現を抑制し、右室心筋の血管新生を抑制することで右心肥大を抑制する」、ことを新たに明らかにした(Yoshikawa, Biochem Biophys Res Commun, 2014)。現在、HEXIM1のP-TEFb抑制活性を消失したHEXdNLSの心筋特異的Tgマウスを加え、ブレオマイシン誘導性肺線維症-PHモデルも構築し、HEXIM1誘導薬の網羅的探索も進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肺高血圧症モデルマウスにおけるHEXIM1の右心肥大誘導抑制作用のメカニズムに関し、新たな機構を発見し、論文として報告した。
|
Strategy for Future Research Activity |
低酸素誘導性PHモデルに加え、ブレオマイシン誘導性肺線維症-PHモデルも構築した。これらのモデルを利用し、心筋細胞特異的HEXIM1トランスジェニックマウス、HEXIM1のP-TEFb抑制活性を消失したHEXdNLSの心筋特異的トランスジェニックマウスを加え、膠原病性肺高血圧症ー右心肥大ー右心不全におけるHEXIM1の意義についてさらに詳細に解析を進める。また、HEXIM1誘導薬の網羅的探索も進めている。
|
Causes of Carryover |
当初計画よりも進展があったため、各種消耗品の消費が早く、平成27年度に予定していた消耗品購入を前倒して実施する必要があった。そこで前倒し請求をしたが、当初の想定よりも消耗品消費を抑制することが出来、研究にも支障を来さなかったため、未使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画の平成27年度予算とほぼ同額であり、当初計画通りの使用予定とする。
|
Research Products
(2 results)