2015 Fiscal Year Research-status Report
尿中SAAフラグメント測定による反応性アミロイドーシスの診断と治療効果の判定
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25461471
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
黒田 毅 新潟大学, 保険管理・環境安全本部・保健管理センター, 准教授 (00372475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中枝 武司 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (20464000)
和田 庸子 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (30608534)
山田 俊幸 自治医科大学, 医学部, 教授 (50211636)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アミロイドーシス / 関節リウマチ / 腎障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
反応性AA アミロイドーシスは関節リウマチ(RA)をはじめとする慢性炎症性疾患において引き起こされる合併症であり炎症で生成される前駆蛋白の血清アミロイドA 蛋白(SAA)が長期間、高濃度で存在し重合し組織に沈着後、臓器障害を引き起こし死亡する予後不良の疾患である。申請者らは、尿沈渣、尿上清を用いたAAアミロイドーシスによる腎障害のスクリーニング法と腎臓に沈着したアミロイドを非侵襲的に診断する検討を行ってきた。 まずアミロイドの診断に関して、申請者と研究分担者は低侵襲の診断法として腹壁脂肪生検も併せて検討している。76番目のSerと77番目のLeuの間で切断されたSAAポリペプチド鎖のN末端側を認識する新たな抗体を用い胃十二指腸粘膜生検をスタンダーダードとして腹壁脂肪生検組織を従来の腹壁脂肪生検よりも感度を上げた方法で検討し,従来の方法よりも特異度の高い方法を確立した(Sato J, Okuda Y, Kuroda T, et al. Ann Clin Lab Sci. 2016;46(2):147-53)。また、RA関連のアミロイド症例の治療に関しては、申請者らは生物学的製剤による生命予後の延長効果を報告してきたが、透析導入後の症例では生命予後の延長効果は認められず感染症による死亡が多かった。これらの結果を踏まえて今後の生物学的製剤の使用法についての提案を行った(Kuroda T, et al. Internal Med (in Press))。現在までの尿沈渣、尿上清の検討はアミロイドの検出率はは上清より沈渣が高い。更に一部の症例では、尿沈渣をアミロイドと特異抗体で二重染色することにより腎組織へのアミロイド沈着の部位を推定することが可能である(The XIVth International Symposium of Amyloidosis)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
関節リウマチ(RA)の治療法の進歩により病勢のコントロールが困難な症例に対して生物学的製剤が使用されるようになってきた。その結果アミロイドーシスの研究班の推定では従来RAの約10%がアミロイドーシスと診断されていたが、近年約5%に減少したと考えられている。以上より検討する対象症例の減少が一つの原因である。 また、尿沈渣と尿上清のイムノブロットによる検討では非侵襲的方法ではあるが、胃十二指腸粘膜生検をスタンダーダードとした検出率は約60%とやや低いため、イムノブロットの増感法などを始めとして検出率を向上するための検討を行っているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況の遅れの原因は対象症例の減少と検出率が予想よりも低かった2点である。対象症例の減少に関しては関節リウマチ(RA)の病診連携を行っている関連施設に協力していただき症例を増やす事を行っている。検出率の向上に関しては、イムノブロットの増感法を検討しているが、これに加えて少量サンプルでも解析可能な液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS/MS)による解析を検討する。現在、関連研究機関でLC/MS/MSの協力を得られるめどがついたため、今後検討を行う。
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Causes of Carryover |
関節リウマチ(RA)の治療法の進歩により病勢のコントロールが困難な症例に対して生物学的製剤が使用されるようになってきた。その結果アミロイドーシスの研究班の推定では従来RAの約10%がアミロイドーシスと診断されていたが、近年約5%に減少したと考えられている。以上より検討する対象症例の減少が一つの原因である。 また、尿沈渣と尿上清のイムノブロットによる検討では非侵襲的方法ではあるが、胃十二指腸粘膜生検をスタンダーダードとした検出率は約60%とやや低いため、イムノブロットの増感法などを始めとして検出率を向上するための検討を行っている。この実験手法を確立する事に時間がかかったいるため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
対象症例の減少に関しては、病診連携を行っている施設に協力をしていただき検討症例数を確保する予定である。また、検出の感度の向上は、イムノブロットの増感法などを検討しているが、これに加えて少量サンプルでも解析可能な液体クロマトグラフィー質量分析法による解析を検討する。
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