2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25461485
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
安岡 秀剛 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60365260)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 線維化 / 血小板 / 強皮症 |
Outline of Annual Research Achievements |
線維化は創傷治癒の一過程で、組織の修復にかかわる生理的現象である。制御を失い過剰全身性強皮症は線維化をきたすの代表的な疾患で、肺・心臓・腎などのvital organも障害される現在も有効な治療法がない予後不良の疾患である。本研究ではこれまで検討されることのなかった血小板に着目し、線維化機序の解明および線維化を制御できる新規治療標的を同定することを目的とした。ブレオマイシン投与肺線維化誘導マウスでは、野生型と比較し、血小板機能を欠損したマウス(β3インテグリン欠損マウス)および血小板機能を抑制する治療(アスピリン投与)により、線維化が抑制されることを確認した。この結果は血小板機能が線維化と関連する可能性を示唆した。また血小板と線維芽細胞の共培養系を構築し、線維芽細胞における細胞外マトリクスの産生を検討した。強皮症患者由来血小板の存在により健常人と比較し細胞外マトリクスの産生が亢進することを示した。そこで血小板に内包される因子、特に血管細胞生物学およびケモカイン・ケモカインレセプターに焦点をあて遺伝子・タンパク発現レベルを強皮症患者および健常人と比較したところ、強皮症患者由来血小板でCXCL5の発現が亢進していることが明らかとなった。上記細胞の共培養システムを用い、抗CXCL5抗体およびCXCL5レセプターアンタゴニストを用いると、誘導された細胞外マトリクス産生誘導が抑制されることが確認された。またCXCL5リコンビナントタンパク単独でも細胞外マトリクス産生誘導が確認されたことから、この因子が線維化誘導の候補因子の一つであることを明らかとした。 さらに血小板の活性化状態について強皮症を含めた膠原病でも検討した。その結果、強皮症の他関節リウマチで活性化状態にあったが、その活性化パターンに違いがあり、病態の違いを反映している可能性が考えられた。
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