2014 Fiscal Year Research-status Report
FcγレセプターIIB欠損マウスを用いたRAとSLEの特異性を決める遺伝子の解析
Project/Area Number |
25461486
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
天野 浩文 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50318474)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | Fcレセプター / 全身性エリテマトーデス / 関節リウマチ / モデルマウス / Yaa遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
B細胞や単球系細胞で抑制性のシグナルを伝えるFcγRIIBは、自己免疫疾患の発症に重要であることが知られている。このFcγRIIBを欠損するC57/BL6(B6)マウス(KO1マウス)は、関節リウマチ(RA)に類似した病態を発症する。我々は、このKO1マウスにSLEの病態を促進させるYaa遺伝子を導入することによる病態の変化と免疫学的表現型についての解析をおこなった。 KO1マウスとB6.Yaaマウスとの交配によってKO1.Yaaマウスを作製した。KO1.Yaaマウスでは6-8ヶ月齢で関節炎の発症は認めず、ループス腎炎類似の糸球体腎炎を発症した。2か月齢において、KO1マウスでは末梢血の単球の比率は、11.6±1.5%だったのに対して、KO1.Yaaマウスで著明な末梢血の単球増加を示した(26.6±21.3%)。末梢血の単球のサブセットにおいては、CD11b陽性Gr-1陰性の〝resident(常在性)″単球が著明に増加していた。脾臓のマージナルゾーンB細胞は、4ヶ月齢でKO1マウスと比較した際、KO1.Yaaマウスで減少しており、活性化を示すCD69陽性T細胞の比率が増加し、さらにPD-1陽性CXCR5陽性濾胞性ヘルパーT細胞の比率が増加していた。脾臓細胞のサイトカイン産生を調べたところ、KO1.Yaaマウスでは、KO1マウスと比較して有意にIL-10とIL-21が上昇していた。 これらから、FcγRIIB欠損(RA)マウスへYaa遺伝子を導入することによるループス腎炎(SLE)への病態変化には、活性化した濾胞性ヘルパーT細胞からのサイトカイン産生が大きく関わっていると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書2年目以降に行う予定であった内容について、おおむね計画通りに遂行し、結果につなげることができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今回の結果から自己免疫疾患の特異性決定に重要であると考えられたサイトカイン(IL-10)について、より詳細にその役割を検討するために、IL-10欠損マウスを用いた更なる研究計画を検討している。
|
Causes of Carryover |
既に購入済であった、実験器具や消耗品を使用できたこと。また、効率良く実験結果を得ることができたこと。さらに、学会会場は東京近郊が多く、旅費の出費が少なかったことが挙げられる。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究結果をより国際的に報告するために、海外での発表を行うための旅費、さらに発展的な研究を推進するため試薬や器具の購入に用いる。
|
Research Products
(1 results)