2014 Fiscal Year Research-status Report
リゾホスファチジルセリン産生酵素のSLE病態における役割とバイオマーカーへの展開
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25461487
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
沢田 哲治 東京医科大学, 医学部, 准教授 (50235470)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リゾリン脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はリゾホスファチジルセリン(Lysophosphatidylserine;LPS)を中心とするリゾリン脂質が全身性エリテマトーデス(SLE)を中心とする自己免疫性疾患の病態形成における役割を明らかにすることである。 平成26年度は初年度に引き続き、LPS産生酵素の発現・機能解析と臨床検体研究を中心に研究を行った。発現解析については、Taqmnan PCRのプローブを用いた定量的PCR法を行い、ヒトリンパ球におけるLPS産生酵素(phosphatidylserine- specific phospholipase 1, PS-PLA1)および複数のLPS受容体(GPR34、P2Y10、GPR174、GPR171)に関して、そのmRNAの発現量を解析した。その結果、末梢血単核球では主にB細胞で PS-PLA1の発現が認められること、活性化リンパ球ではLPS産生酵素およびLPS受容体の遺伝子発現が亢進することを確認した。機能解析については、in vitroの細胞培養の実験系において、PHA、ConAなどのレクチンによる刺激やIL2刺激のみではなく、スーパー抗原を用いたリンパ球活性化の至適条件も検討した。臨床検体については、活動期および非活動期のSLE患者、感染症を併発したSLE患者などの血清および末梢血単核球のサンプル収集を継続して行っている。これらの検体について、血清中のPSPLA1測定および記述のリンパ球の遺伝子発現解析を行うことにより、SLEの原病増悪と感染症を鑑別するのに有用な情報が得られることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
科学研究費の3年間の交付期間内に本研究で行う実験は以下の4つに分けられる。すなわち、発現解析ではLPS産生酵素(PS-PLA1)およびLPS受容体の発現解析を行い、機能解析ではin vitroの細胞培養実験系でLPSがリンパ球機能に与える影響を解析すること、臨床検体を用いた解析では経時的に収集した臨床サンプルのデータと臨床情報との関連を検討すること、また動物モデルではマウスでLPS産生酵素(PS-PLA1)およびLPS受容体の発現解析を行うことである。上記4項目のうち、動物実験の施行が平成27年度となったため、現在までの達成度をやや遅れていると区分した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は科学研究費の3年間の交付期間内にリゾホスファチジルセリン(LPS)およびその産生酵素であるPS-PLA1やLPS受容体に関する研究を行い、LPSが全身性エリテマトーデス(SLE)の病態形成における役割を明らかにすることである。平成27年度は最終年度として、モデルマウスの解析およびPS-PLA1の自己抗原性(抗PS-PLA1抗体はSLEの血栓と関連する可能性が示唆される)を含めた研究を行い、LPSとSLEに関する研究の総括を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度に行う実験の一部を平成27年度に行うため、その消耗品に相当する124,906円を次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、上記の繰り越し分と平成27年度に交付される助成金をあわせて消耗品を購入し、実験を行う予定である。
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