2015 Fiscal Year Annual Research Report
リゾホスファチジルセリン産生酵素のSLE病態における役割とバイオマーカーへの展開
Project/Area Number |
25461487
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
沢田 哲治 東京医科大学, 医学部, 准教授 (50235470)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 全身性エリテマトーデス / リゾリン脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
Phosphatidylserine (PS)-specific phospholipase A1(PSPLA1)は、PSからLysophosphatidylserine(LysoPS)を産生するPS特異的リゾリン脂質産生酵素である。これまでの研究で全身性エリテマトーデス(SLE)患者血清中にPSPLA1が有意に増加していることがELISAで示された。今回、Balb/cにプリスタン(0.5ml)を腹腔内投与したSLEモデルマウス(4週)を作成したが、マウス血清ではWestern blotでPSPLA1の有意な増加は検出されなかった。これには市販抗PSPLA1抗体の検出感度が影響している可能性もあると考えられる。 ヒト末梢血単核球細胞(PBMC)におけるPSPLA1の発現(RNA)については、T細胞マイトジェン(PHA)やスーパー抗原刺激によりPBMCのPSPLA1発現は増強されたが、その発現は時間経過とともに減少しており、PSPLA1はT細胞の初期活性化マーカーである可能性が考えられた。また、INFαはSLEの病態形成に関与するサイトカインであることが報告されているが、高濃度のINFα刺激もPSPLA1発現を増強しており、PS-PLA1はSLEのINFα signatureの一つであると考えられた。一方、LysoPS受容体(GPR34、P2RY10、GPR174)の発現はT細胞刺激により低下した。また、in vitroの培養実験で、PHA活性化T細胞は無刺激PBMCに比べてLysoPSによる細胞傷害に抵抗性を示した。従って、活性化T細胞はLysoPS受容体の発現低下を介してLysoPSの細胞傷害性を回避している可能性が示唆された。
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