2014 Fiscal Year Research-status Report
新規因子SPACIA1の分子機序に基づくリウマチ滑膜増殖阻害に関する研究
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25461490
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
藤井 亮爾 聖マリアンナ医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10333535)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リウマチ / 滑膜炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちの研究室ではリウマチ滑膜細胞の異常増殖機構解明のための端緒となる分子として、新規滑膜増殖関連因子SPACIA1を見出し、その過剰発現マウスやノックアウトマウスを用いて関節炎における重要性を示してきた。本研究計画は「滑膜細胞増殖におけるSPACIA1とTNF-αの協調的制御機構の解明」、「滑膜細胞増殖関連分子の抗リウマチ薬標的分子としての有効性」の2点を明らかにすることを目的としている。 平成25年度に見いだしたTNF-αで発現誘導される細胞周期因子に関して、その応答配列は遺伝子上流2kb内のプロモーターになく、現状スクリーニングを継続中である。 私たちのグループが見いだしたSPACIA1が発現制御する細胞周期因子CDK6に対する阻害剤について、本年度(平成26年度)コラーゲン関節炎モデル(CIA)マウスを用いて評価した。他のグループにおいて細胞周期因子CDK4とCDK6の両方の酵素活性を阻害する薬剤を用いた検討がすでに報告されているが、リウマチ治療に有望な結果が得られている一方で、十分な薬効が得られる濃度では血球数減少など副作用の問題があるとの報告もあり、使用方法に工夫が必要であるらしい。私たちのグループでは、SPACIA1がCDK4ではなくCDK6のみを制御することから、関節炎でより重要なのはCDK6であると考え、CDK4には影響せず、CDK6のみを抑制する阻害剤について検討を行なったところ、高い濃度では、完全に関節炎の発症を抑制することができた。血球数減少のような副作用は認められず、腎臓、肝臓などへの影響を次年度、確認していく予定である。また、すでに関節炎を起こしているマウスにこの薬剤を投与したところ炎症抑制が観察された。次年度この炎症抑制効果についても定量的、統計的解析を行なっていきたい。これまでのところCDK6はリウマチ治療の標的分子として非常に有望であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TNF-αで発現誘導される細胞周期因子を同定したが、これまでのところ遺伝子の応答配列は特定できていない。一方で、SPACIA1を端緒とした分子メカニズム解析の結果、関節炎におけるCDK6の重要性が浮かび上がり、実際にマウス関節炎モデルを用いてCDK6の阻害剤により炎症の発症を抑制できることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
CDK6阻害剤を発症前に投与すれば、完全に関節炎の発症を押さえることができた。今後は、一度発症した関節炎を抑制することができるか、定量的、統計的解析を行なっていきたい。また、マウス関節炎モデルにおける、本剤の副作用についても確認していきたい。以上のように非常に有望な薬剤が見つかったため、この薬剤についての検討に注力していきたい。
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Causes of Carryover |
平成25年度に見いだしたTNF-αで発現誘導される細胞周期因子に関して、その遺伝子のTNF-α応答配列の特定に難航しており、その後の解析が行えていないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後も上記のTNF-α応答配列の特定を続けていくが、CDK6阻害剤のマウス関節炎モデルを用いた検討が非常に有望であるため、こちらでの使用を大きくしたい。
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Research Products
(1 results)