2014 Fiscal Year Research-status Report
PAD4を標的とした好中球細胞外トラップの阻害と炎症性疾患の病態への影響
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25461494
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
中島 克彦 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (90528035)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | PAD4 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性肺障害(ALI)では、肺胞中にエラスターゼなどのタンパク質分解酵素が放出され肺組織が損傷し短時間で死に至る。しかしながら、エラスターゼ阻害剤はALIに対する効果が低いことが分かっている。慢性、急性によらず、炎症性疾患では重度の組織障害がその症状を悪化させる。好中球より放出されるプロテアーゼはエラスターゼだけでなくカテプシンGなど、他にも様々な酵素が存在する。また、好中球細胞外トラップ(NETs)がALIなど様々な炎症性疾患に関与することが近年明らかとなってきた。したがって、NETsを阻害し好中球からの下流の放出を抑制することで、組織の損傷を防ぐことができると考えられる。 ペプチジルアルギニンデイミナーゼ4(PAD4)によるヒストンシトルリン化は、NETsにおいて重要な制御因子であることが報告されている。本研究の目的は、PAD4の阻害によるNETsの抑制が、ALIにおける組織損傷を防ぐかどうか検討し、関節リウマチ等の自己免疫疾患や他の炎症性疾患も含め、PAD4を標的とした治療応用への可能性を明らかにすることである。 PAD4欠損マウスにおいてLPSの気管内投与による急性肺障害モデルを作製し、肺における炎症性サイトカインの発現を調べた。その結果、IL-6やIL1bなどのサイトカインの発現が野生型に比べ低いことが分かった。また、肺胞洗浄液のエラスターゼ活性も低いことが示された。これらの結果はPAD4阻害により好中球からの顆粒の放出が阻害され、肺組織の炎症が抑えられていることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験はほぼ終わり、後は培養細胞を用いた実験によりPAD4と炎症に関する検証を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
培養細胞を用いてPAD4の炎症への関与を検証していく。
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Causes of Carryover |
ほぼ全額使用したが、小額残ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験のための物品費や学会発表時の旅費等に当てる。
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