2013 Fiscal Year Research-status Report
新規の線維化・強皮症モデルマウスを用いた炎症-自己免疫-線維化相互関連の解明
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25461497
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
芦田 昇 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00538978)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 線維化 / 炎症 / 強皮症 |
Research Abstract |
我々は筋線維芽細胞特異的IKKβノックアウトマウスを作製したところ、皮膚を始めとする様々な臓器の著明な線維化と自己抗体産生を認め、このマウスが新たな線維化・強皮症のモデルマウスとして有用であることを見出した。このマウスを用いて、多くの疾患の病態的基盤である線維化を炎症と自己免疫との相互連関の視点から解明することを目的として研究を行ったが、本年度は以下のような実績をあげた。 【PCT国際特許出願】本マウスは線維化・強皮症モデルマウスとして京都大学が知的財産権利を承継し、2012年11月1日米国特許出願を行っているが、さらなる技術移転・産官学連携の発展のため国際特許出願を行うべく科学技術振興機構・知的財産戦略センターによる外国特許出願支援制度に申請したところ、これに採択された。これをうけて、2013年11月に京都大学によりPCT国際出願が行われた。 【本マウスにおける線維化分子メカニズムの解明】本研究申請時においてはPDGFやMMP9の関与が主体かと思われていたが、その後の検討によりβcateninの関わりが大きいことが判明しつつある。βcateninはこれまでの様々な研究によって線維化と深い関わりがあることが分かっているが、それがIKKβのノックアウトにより活性化すること、逆にIKKβの活性化によって不活化することが判明した。このことは本マウスの線維化メカニズムを説明する上で非常に大きな発見と考えられる。また、βcateninがWntシグナルの主役として癌などの形成に大きく関与していることはよく知られているが、本マウスにおいても長期観察において癌によると思われる死亡率の上昇が確認されており、IKKβ-βcateninと癌との関わりも大変興味深いと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科学技術振興機構・知的財産戦略センターによる外国特許出願支援制度に採択されてPCT国際特許出願を果たしたことは、産官学連携の広がりのみならず今後の研究発展において非常に大きな成果であった。また、βcateninという線維化及び癌における主要分子との関わりが判明しつつあることは、今後のメカニズム解明において大変意義深いものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
βcateninの関与という新たな展開を受けて、さらなるメカニズム解明を進める。また、現在準備中である大動脈縮窄による心臓圧負荷モデルなど、線維化に関わる疾患モデル作製も進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
線維化メカニズムの解明に新しい展開があったためにそちらに研究を集中し、結果として大動脈縮窄モデルなどの疾患モデルマウス作成の準備が遅れたため、その実験に関わる経費が次年度使用額として発生した。 予定されていた大動脈縮窄モデルなどの疾患モデルマウス作成を行い、これの解析を施行するために使用する。
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Research Products
(8 results)