2013 Fiscal Year Research-status Report
喘息と鼻副鼻腔炎:炎症制御因子を介した病態生理学的関連性の解明
Project/Area Number |
25461501
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
岡 亜早子 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (20649058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 和人 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (20347602)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 喘息 / アレルギー性鼻炎 / ステロイド / サイトカイン / ケモカイン / 気道炎症 |
Research Abstract |
アレルギー性鼻炎は喘息と高率に合併し、喘息発症の危険因子としても知られている。上気道と下気道は関連性を持ち、互いに影響を及ぼすことからone airway , one diseaseという概念が提唱されている。上気道で産生された炎症関連物質が全身循環を介して喘息に影響を及ぼすことが重要と考えられているが、その関連機序については十分には解明されていない。本研究では、喘息患者410例を対象に、Asthma Control Questionnaire(ACQ)、肺機能検査、呼気NO濃度(FENO)測定、鼻炎質問票を横断的に実施した。270症例(66%)が鼻炎症状を有していた。しかし鼻炎治療は138症例(51%)だけで行われており、113症例(42%)はコントロール不良(ACQで0.75未満)と判定された。喘息コントロールが不良な鼻炎合併喘息患者は有意に高齢で、気流閉塞、下気道炎症およびARIA鼻炎分類の程度が重篤であった。多変量解析により鼻炎の重症度(OR 2.2, p < 0.01)および頻度(OR 2.5, p < 0.005)とFENO(OR 1.09, p <0.05)が喘息コントロール不良の独立した規定因子として同定された。喘息患者において、簡便な質問票やVASスケールを用いてアレルギー性鼻炎の活動性を判定することは、鼻炎が喘息コントロールに及ぼす影響を評価するための有用な指標となり得る、と考えられた。活動性の高い上気道病変に対する積極的な治療介入(点鼻ステロイド薬、舌下免疫療法、外科治療など)が、喘息コントロールの改善に寄与するかについては、今後のさらなる検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多数の喘息症例を、この横断研究に登録できた。本年度の研究により、喘息患者の鼻炎合併率は既報と同様に約70%であった。鼻炎の合併は喘息コントロールの悪化と関連しており、多変量解析にで鼻炎重症度と呼気NO濃度がその規定因子として同定された。鼻炎の併存だけではなく、その活動性が喘息には影響しており、特に下気道炎症と関連することが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、鼻炎合併喘息に対する(1)点鼻ステロイド薬による鼻炎治療、(2)外科的治療、が喘息の病態生理、および炎症制御因子にどのような影響を及ぼすかを検討し、上気道と下気道の関連機序の解明を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入予定であった試薬が販売中止となり、購入不可能となった。 代替え品を調査中であり、次年度に購入予定である。
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[Presentation] 鼻炎合併喘息における喘息コントロール不良の独立した規定因子
Author(s)
松永和人, 岡亜早子, 亀井雅, 坂本幸裕, 平野綱彦, 赤松啓一郎, 早田敦志, 菊池崇史, 平松政高, 市川朋宏, 中西正典, 南方良章
Organizer
第25回日本アレルギー学会春季臨床大会 (ミニシンポジウム)
Place of Presentation
横浜
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