2014 Fiscal Year Research-status Report
喘息と鼻副鼻腔炎:炎症制御因子を介した病態生理学的関連性の解明
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25461501
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
岡 亜早子 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (20649058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 和人 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (20347602)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 鼻炎合併喘息 / 鼻ステロイド治療 / 呼気NO |
Outline of Annual Research Achievements |
アレルギー性鼻炎は喘息と高率に合併し、喘息発症因子のみならず難治化因子としてしても知られている。上気道および下気道の炎症は連動して推移し、上気道で産生された炎症制御因子は、全身循環を介して喘息に影響を及ぼすことが示唆されている。しかしどの程度アレルギー性鼻炎が喘息の悪化に影響を与えているかは不明である。そのためアレルギー性鼻炎について鼻炎症状スコアを用いて重症度を判定し、喘息の症状スコア、気流閉塞、呼気NO濃度で評価した気道炎症との関連を検討した。結果として、アレルギー性鼻炎合併喘息症例では喘息のみの症例に比べて喘息のコントロールの悪化と下気道の炎症の亢進を認めた。さらに今回、喘息のコントロールの悪化と下気道炎症の亢進はアレルギー性鼻炎の重症度と関連することが判明した。このため喘息患者において、簡便な質問票やVASスケールを用いてアレルギー性鼻炎の活動性を判定することは、鼻炎が喘息コントロールに及ぼす影響を評価するための有用な指標となり得る、と考えられた。また鼻炎に対する点鼻ステロイド薬投与が喘息にどのように影響を及ぼすかはいまだ一定の結論が得られておらず、喘息のコントロールが不完全な中等度・重症持続型鼻炎合併する喘息患者に対し、点鼻ステロイド治療の介入による上気道からの炎症制御因子産生の抑制が末梢血好酸球数、喘息症状、肺機能、気道炎症に及ぼす影響を系統的に検討した。点鼻ステロイド治療により、鼻炎の症状のみならず、喘息の症状、肺機能、気道炎症の改善が認められた。また下気道の炎症の改善には末梢血好酸球の抑制の関与が考えられた。今後、喘息のコントロールが不完全な患者における独立の規定因子のさらなる検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
喘息ガイドラインに準じた標準的治療を8週間以上行った喘息患者をAshma Contraol Questionnaire(ACQ)、呼吸機能検査、呼気NO濃度(FENO)、血中IgE、SACRA questionnaireの測定を横断的に実施した。喘息患者520症例のうち、アレルギー性鼻炎合併例は348症例(66.9%)であり、既存の日本人における喘息患者の鼻炎合併率67.3%(Ohta K,Allergt 2011)と矛盾はなかった。鼻炎合併喘息患者は喘息のみの患者に比べて性別や年齢に有意差はなく、アトピー素因と鼻症状VAS値に有意差(p<0.001)を認められた。アレルギー性鼻炎合併喘息患者では喘息のみの患者に比べ吸入ステロイド治療やロイコトリエン拮抗薬の使用も多いにも関わらず、喘息の症状は有意に低下していた(p<0.001)。また下気道の炎症反応および気流閉塞も強く認められた。今回の研究によりアレルギー性鼻炎のコントロールが不良であれば、喘息のコントロールおよび下気道の炎症・呼吸機能の低下につながることが判明した。また本年度の研究ではさらに鼻炎合併喘息患者の中でも中等度・重症持続型鼻炎を合併する患者の中で文章による説明、同意を得られた患者に対し点鼻ステロイド薬を用いた治療介入を行い下気道への影響についても研究を行った。点鼻ステロイド治療による上気道の治療により鼻の症状・喘息の症状。下気道の炎症反応、呼吸機能の改善が認められた。また有意差は認められなかったが治療により血中の好酸球数の低下が認められた。末梢血好酸球数の抑制を介して下気道の炎症および機能改善につながったと考えられる。以上の結果はThe Journal of allergy and clinical immunology in practice March-April 2014 172-178に報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
アレルギー性鼻炎と喘息に関して多数の喘息患者に対する横断的研究を行った。今回の研究によりアレルギー性鼻炎合併喘息患者において鼻炎の合併は併存だけではなくその活動性が喘息に影響しており特に下気道炎症と関連することが示された。 アレルギー性鼻炎と喘息の臨床表現型の関連性については相互の関連因子が関与すると考えられているが未だ明確ではない。今後の検討としては喘息のコントロールが不十分または不良となる独立の規定因子の解明を試みたい。
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Causes of Carryover |
購入予定であった試薬が販売中止となり購入できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後喘息コントロール不完全な患者における独立の規定因子解明のためにIL-4、IL-13、GM-CSFなどの測定試料薬品代などを検討している。
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[Journal Article] Ongoing Allergic Rhinitis Impairs Asthma Control by Enhancing the Lower Airway Inflammation2014
Author(s)
Oka A, Matsunaga K, Kamei T, Sakamoto Y, Hirano T, Hayata A, Akamatsu K, Kikuchi T, Hiramatsu M, Ichikawa T, Nakanishi M, Minakata Y, Yamamoto N
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Journal Title
The Journal of Allergy and Clinical Immunoloy In Practice
Volume: 2
Pages: 172-178
DOI
Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Changes in forced expiratory volume in 1 second over time in patients with controlled asthma at baseline.2014
Author(s)
Matsunaga K, Ichikawa T, Oka A, Morishita Y, Kanai K, Hiramatsu M, Akamatsu H, Kawabata H, Kikuchi T, Akamatsu K, Hirano T, Koh Y, Nakanishi M, Minakata Y, Yamamoto N
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Journal Title
Respir Med
Volume: 108
Pages: 976-982
DOI
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