2014 Fiscal Year Research-status Report
FcεRI会合の競合的阻害によるマスト細胞の活性化制御
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25461505
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
布村 聡 日本大学, 医学部, 助教 (70424728)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | IgE / マスト細胞 / Fc受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
高親和性IgE受容体(FcεRI)を介したマスト細胞の活性化は,気管支喘息や花粉症などのI型アレルギーの発症に係わることが知られています。今日,先進工業国におけるアレルギー疾患の発症率、罹患率は,著しく増加している現状から,その症状をコントロールする優れた管理法の学術的,社会的意義はきわめて大きく,本研究の目標は, FcεRIの機能を共同的抑制する新たな手法を開発し,I型アレルギー疾患に対する予防戦略の新展開を目指す点にあります。
平成26年度は,昨年度に達成できなかったFcεRIγ鎖のS-S結合部位やITAM領域を欠失させた変異体を発現させたマスト細胞のFcεRIを介した活性化について解析を行いました。FcεRIγ鎖のS-S結合部位のみを変異させたマスト細胞では弱いFcεRI架橋を誘導する条件下では,脱顆粒能およびサイトカイン産生能が低下し,逆に弱いFcεRI架橋を誘導する条件下では脱顆粒能およびサイトカイン産生能が増強されることを見出しました。また,FcεRIγ鎖のS-S結合部位とITAM領域を同時に欠失させた変異体を発現させたマスト細胞では,FcεRI刺激による脱顆粒応答は全く認められず,このタイプのFcεRIγ鎖変異体をC57BL/6マウスから調製した野生型マスト細胞に過剰発現させた場合,野生型のFcεRIγ鎖と競合することにより,30~40%程度脱顆粒能を低下させることが確認できました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に達成できていなかったマスト細胞のFcεRIを介した活性化におけるFcεRIγ鎖変異体の機能を明らかにすることが出来た点と,本年度の目標である野生型マスト細胞のFcεRIγ鎖の機能に対するFcεRIγ鎖変異体の競合阻害効果を確認することが出来た点からおおむね順調に進展していると評価しました。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,S-S結合部位にのみ変異を導入したFcεRIγ鎖を発現するマスト細胞で認められたFcεRI架橋の強さに応じて正と負の双方向性の活性化制御が点についてさらに詳細な解析を進めると共に,S-S結合部位とITAM領域を同時に欠失させたFcεRIγ鎖変異体による競合阻害の効率を高めることを目指す予定にしています。
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Causes of Carryover |
本年度に行ったサイトカイン産生解析用のELISA kitを購入予定額の半額で購入することが出来たためと次年度にS-S結合部位にのみ変異を導入したFcεRIγ鎖を発現するマスト細胞で認められたFcεRI架橋の強さに応じて正と負の双方向性の活性化制御が点についてさらに詳細な解析を進める必要性が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は,本年度で得られた予想外の結果であるS-S結合部位にのみ変異を導入したFcεRIγ鎖がFcεRI架橋の強さに応じて正と負の双方向性の活性化制御を司る点についてさらに詳細な解析を進めるために使用します。
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