2013 Fiscal Year Research-status Report
単純ヘルペスウイルスの母子感染に関わる遺伝子変異と宿主因子の解明
Project/Area Number |
25461508
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大黒 徹 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (80291409)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | HSV / 母子感染 / 新生児ヘルペス |
Research Abstract |
アメリカの新生児ヘルペス患者から分離されたHSVの各クローンにおけるリン酸化酵素をコードする遺伝子の塩基配列を解析した。患者数26名から分離されたHSVの各クローンで、HSV-2のプライマーでPCRによって増幅が見られた17株中3株のクローンにアミノ酸変異を伴うvariation が見られた。 患者番号5番クローン1,2,4,6,7、患者番号10番クローン4、患者番号11番クローン3,7 クローン4,5,6。 次に、HSV-2の変異株と非変異株で、HepG-2細胞における蛋白質発現に有意差のみられた遺伝子について、温度、ウイルスの感染、細胞種によるmRNAの発現量を比較した。今回、Vero細胞とHepG-2細胞に感染したウイルスはHSV-2 1718 -17株、21株、82株、103株の4種である。 本実験の結果、非感染細胞よりHSV感染で発現量に低下の傾向がみられたのはshut-offによるものかもしれない。温度による比較では、mitochondrial ribosomal protein L17 とTropomyosinの発現量が40℃の方で若干低下していた。一方、HepG-2細胞におけるmRNAの発現量を比較した。Vero細胞での結果と同様に、概ね非感染よりHSV感染で発現量に低下がみられた(shut-off )。 82株感染18hは全ての遺伝子の発現量が低く、異常値の可能性が考えられる。tubulin-folding cofactor B(TBCB)はほぼ横ばいで発現量が増減しないことが確認できた。mitochondrial ribosomal protein L17も変動が少なかった。しかしながら、laminin Receptorのみ非感染より17株、21株の感染において発現量の増大傾向がみられたが、一方で82株、103株は発現量が逆に低下していた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の解析で、日本での単純ヘルペスウイルスによる母子感染のみならず、アメリカの新生児ヘルペス患者からも、類似の遺伝子変異が検出されたことは、これまでの仮説が正しいことを裏付ける結果といえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今回、アメリカの新生児ヘルペス患者から分離されたHSVの各クローンにおけるリン酸化酵素をコードする遺伝子の塩基配列の比較検討を行った。患者数26名から分離されたHSVの各クローンで、HSV-2のプライマーでPCRによって増幅が見られた17株について塩基配列を解析した。残りの9株はHSV-1感染の可能性があるため、HSV-1のプライマーを用いて塩基配列を決定する予定である。 妊娠モルモットにおける、HSV-2感染実験では、病理学的観察で胎児への感染を確認できなかった。これはウイルスの力価、感染後の日数等が原因であると考えられるため、今後再検討していきたい。 現在、マウス皮膚病変モデルでの遺伝子変異の有無による病原性発現について評価を行っている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
妊娠モルモットへのHSV感染実験を2回に分けて行ったが、どちらの実験でも病理学的観察によってモルモット胎児への感染がみられなかった。その理由としてはウイルスの力価、感染後の日数等が考えられるが、動物愛護の観点からも、現在至適な感染実験条件を模索している段階である。 妊娠モルモットでの母子感染モデルでの評価を一時中断しているが、先にマウス皮膚病変モデルでの感染実験を行っているおり、1塩基のフレームシフトによる遺伝子欠損株と、アミノ酸置換を生じた変異株で大きな病原性の差異を確認しており、今後こちらの実験を優先しておこなう予定である。
|
Research Products
(5 results)