2013 Fiscal Year Research-status Report
アジアにおけるヒトパピローマウイルス遺伝子型・亜型の分布と癌化リスクの解明
Project/Area Number |
25461509
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
市村 宏 金沢大学, 医学系, 教授 (10264756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹川 寿之 金沢医科大学, 医学部, 教授 (30272975)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | HPV遺伝子型 / 子宮頸癌 / 分子疫学 / HPV E6/E7亜型 / ベトナム |
Research Abstract |
ベトナム(ハノイ国立がん病院)において、189名の子宮頸癌患者から子宮頸部バイオプシー検体を採取した。これらの組織からゲノムDNAを抽出し、HPV L1領域を増幅した後、HPV遺伝子型を決定した。また、分離されたHPV16株とHPV52株のE6・E7遺伝子領域を型特異的プライマーにて増幅、塩基配列・アミノ酸配列を決め、E6・E7亜型を決定した。結果は以下のようにまとめられる。 1. 189例中169例(89.4%)にHPV DNAが検出された。HPV DNA陽性検体の26.6%に複数のHPV型が検出された。219のHPV株が分離され、12の遺伝子型が検出された。 2. HPV16/HPV18が子宮頸癌患者の94.7%(169例中160例)に検出されたが、子宮頚部細胞診正常者間で最も高頻度にみられたHPV52型は4.7%に検出されたのみであった。 3. 子宮頸癌患者では、HPV16 E6/E7亜型の中で、ヨーロッパ・アジア型が80.2%、ヨーロッパ・プロトタイプ13.9%、アジア・アメリカ型5.0%、アフリカ型0.9%であった。(一方、子宮頚部細胞診正常者では95.7%がヨーロッパ・アジア型であった。) 4. 子宮頚部細胞診正常者では、HPV16 E6 D25E単独/E6 D25E+E7 N29S: 13.7%/86.3%であったのに対し、子宮頸癌患者ではE6 D25E単独/E6 D25E+E7 N29S:43.8%/55.1%であった。 以上より、ベトナムでは、子宮頚部細胞診正常者間で流行しているHPV株と子宮頸癌患者でみられるHPV株の遺伝子型が異なること、そしてHPV16/HPV18を対象とした現行ワクチンが約95%の子宮頸癌予防に有用であることが示唆された。また、HPV16 E6 D25EにE7 N29S変異が加わると発癌に抑制的に働く可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベトナムのがん患者からの検体採取(200検体以上、解析可能な検体数189検体)とHPV分子遺伝子解析がほぼ終了し、現在論文作成を開始している。 今年度の研究により、ベトナムでは、子宮頚部細胞診正常者間で流行しているHPV株と子宮頸癌患者でみられるHPV株の遺伝子型が異なること、HPV16/HPV18を対象とした現行ワクチンが約95%の子宮頸癌予防に有用であること、そして、HPV16 E6 D25EにE7 N29S変異が加わると発癌に抑制的に働く可能性が明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
日本の子宮頸癌患者から検体採取を行ない、ベトナムと同様にHPV分子遺伝子解析を行なう。また、フィリピンの子宮頸癌患者の検体採取に向け、現地の専門家と詳細を詰め、倫理委員会への申請を行ない、がん患者からの検体採取を開始する。平成27年度前半までに全ての解析を終了し、論文作成を行なう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
他の物品が予想より安く購入できたため、端数が生じた。 次年度、消耗品として使用する予定である。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Infection with High-risk HPV Types among Female Sex Workers in Northern Vietnam.2013
Author(s)
Hoang HT, Ishizaki A, Nguyen CH, Tran VT, Matsushita K, Saikawa K, Hosaka N, Pham HV, Bi X, Ta VT, Pham TV, and Ichimura H.
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Journal Title
J Med Virol
Volume: 85
Pages: 288-294
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] E6 and E7 variants of human papillomavirus-16 and -52 in Japan, the Philippines, and Vietnam.2013
Author(s)
Ishizaki A, Matsushita K, Hoang HT, Agdamag DM, Nguyen CH, Tran VT, Sasagawa T, Saikawa K, Lihana R, Pham HV, Bi X, Ta VT, Pham TV, and Ichimura H.
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Journal Title
J Med Virol
Volume: 85
Pages: 1069-1076
DOI
Peer Reviewed
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