2014 Fiscal Year Research-status Report
A群連鎖球菌保有各種病原因子による免疫応答解析に基づくDNAワクチン作製基礎研究
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25461519
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
新井 和明 北里大学, 生命科学研究所, 研究員 (30547386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 孝 北里大学, 感染制御科学府, 教授 (00292855)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | A群溶血性連鎖球菌 / NCTC135 medium / Ultrafiltration / BM-cell / G-CSF / qRT-PCR / TNF-α / Interleukine 6 |
Outline of Annual Research Achievements |
A群溶連菌の各種発赤毒素をコードするspeA, speB, speC, speF, speG, speH, speJ遺伝子、細胞分裂促進毒素をコードするsmeZ遺伝子、その他、スーパー抗原をコードするssa遺伝子やsagA遺伝子等をそれぞれ個々に持ち、全ての遺伝子を含むように6菌株を選び、毒素の産生が可能なNCTC135 mediumを使用し培養した。培養上清をUltrafiltration法にて50 kDa以上、30から50kDa、10から30kDa、10kDa以下の蛋白に分けた。そしてマウス骨髄から採取したBM-cellをG-CSFを添加し、分化させた後、培養プレートのウエルに先の粗分画蛋白を100ng添加し培養した。その培養上清50μl中のNOをグリース法、TNF-αをELISA法で定量した。その他のIL-1β, IL-6, IL-1β, IL-17α, IFN-α, CD14, iNOS, SNAP3, TGFβ, actinβについてはqRT-PCR法で細胞のRNA解析を行った。その結果、一部の菌株では50kDa以上の粗分画については幾つかのサイトカインの上昇が認められた。詳細については現在解析中であり、後日、国内外の論文、学会にて発表する予定である。 その他、菌株収集の過程でErythmycinによる誘導型Telithromycin耐性株を見出し、その評価基準を明確にするためチェッカーボード法を行い、効率よく検出できることを発表した。(第88回日本感染症学会学術講演会・第62回日本化学療法学会総会,2014.6.18-20, 福岡市) 国内との共同研究では東北大学で健康成人から分離されたムコイド型A群溶血性連鎖球菌の解析を行い学術雑誌に発表した。(Risako Kakuta et al,Tohoku J.Exp.Med.,232, 301-304, 2014)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度は「やや遅れ気味であった」がA群溶連菌の病原因子である各種発赤毒素やスーパー抗原における免疫応答を当初の方法としてフローサイトメトリー解析を実施することにより明らかにする事を目指したが、近年、免疫応答細胞のRNAを解析し、しかも定量するqRT-PCR法を実施することにより、多くの菌株に対する免疫応答が効率よく各種サイトカインを始め、CD細胞の解析を行うことが出来るようになった。 またその結果に基づき、最初から単一精製を目指すことなく、Ultrafiltration法により、分子量ごとに病原因子蛋白である各種発赤毒素やスーパー抗原を粗分画として精製し、それを分化したBMcellに投与することにより、免疫応答が有った分画をその後のゲルろ過や等号電点電気泳動を行うことにより、単離につなげることを見出した。これにより特定する抗体産生に関わる蛋白を迅速に検出できるようになるであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
該当する粗分画をゲルろ過そして等電点電気泳動により、それぞれの蛋白を単一精製し、その蛋白のアミノ酸分析を行い、関連する蛋白である各種発赤毒素、細胞分裂促進毒素そしてスーパー抗原の挙動を単一でマクロファージの培養細胞に添加するのが良いのか。それとも複数の蛋白を組み合わせて添加するのが良いのかをどのような免疫反応があり、その蛋白は何かを蛋同定する。それは各種サイトカインやTNF-αの発現により、マクロファージを介しHelper T-cellに働き、IL-12の発現によりB-cellに働き、抗体産生に至る経路を確認するのが第一方策である。 第一の方策に従いその蛋白をコードする遺伝子配列にCpG モチーフを挿入し、今度は単球から樹状細胞を分化し、その樹状細胞付近に発赤毒素やスーパー抗原コード遺伝子-CpGを導入することにより、各種サイトカインやTNF-α、その他の免疫応答を抗体産生の観点から見るのが第二の方策である。それにより各種蛋白遺伝子-CpGを作成し、CpGモチーフの導入部位、複数蛋白遺伝子の場合の効率よく抗体産生に繋がるデザインを模索していきたい。各種蛋白遺伝子-CpGの樹状細胞付近への導入方法もベクター選択を含め、ナノテクノロジーを始め先端技術を駆使し進めて行きたい。 各種免疫応答を見た中で、一部の菌株では50kDa以上の粗分画については幾つかのサイトカイン等の濃度の上昇が認められ、特に炎症性マクロファージに関係するMIP2やセルサイクルにに関係するUHRF2が動いている様であり、詳細については現在解析中であり、後日国内外の論文や学会で発表する予定である。
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Causes of Carryover |
設備備品について当初の予算より廉価で購入できたことが大きく、その額は約26万であった。その他購入する予定であったフローサイトメトリーに関係する免疫関連試薬がqRT-PCR法で代用できることがわかり、次年度の研究分担者に追加した福島県立医科大学の山本夏男准教授の助力により研究計画の達成と予算的にもかなり補助していただいたことが大きな理由と考える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
qRT-PCR法で各種のサイトカイン等免疫応答を確認するための実験を計画しており、その計画の推進に使用したい。また先端技術であるナノテクノロジーによる免疫応答惹起蛋白遺伝子-CpGの合成に使用することも計画している。
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Research Products
(2 results)