2014 Fiscal Year Research-status Report
NDM-1産生大腸菌敗血症モデルを用いたCa-EDTAの併用効果に関する研究
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25461523
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
吉住 あゆみ 東邦大学, 医学部, 非常勤研究生 (20602444)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | NDM-1 / Ca-EDTA |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、病原細菌の薬剤耐性化が問題となっており、その中でもニューデリーメタロβラクタマーゼ(NDM)産生菌の伝播はインドを始め全世界にわたっており深刻である。その種類は多様で、現在までに16種類のアイソザイムが発見されている。本酵素の生産菌の問題点は、既存のセフェム系抗菌薬の殆んどを分解する多剤耐性菌であること、現在治療に用いられているコリスチンやチゲサイクリンなどにも耐性化がみられるという点である。これらの菌による感染症が起きた場合、治療に難渋することが予想される。そのため本研究では抗菌薬の殺菌性に着目するだけでなく、NDM-1自体の活性を阻害することによる新たな治療法を提案することを目的とした。申請者はこれまでにCa-EDTAおよびカルバペネム抗菌薬のIn-Vitroでの併用効果についての検討を行い、抗菌薬単剤の場合と比較し、Ca-EDTA併用条件下では大幅な改善が認められたことを明らかとした(imipenem 512mg/L, imipenem/Ca-EDTA 2mg/L)。さらにNDM-1産生菌によるマウス敗血症モデル系を確立し、このモデルを用いてCa-EDTAとカルバペネム系抗菌薬の併用効果を血中、肝臓内生菌数を指標に検討した。その結果、抗菌薬単剤投与群に比べて併用群では有意差を持って生菌数が10倍減少していた。これらの結果は、2013年にJournal of Infection and Chemotherapyに掲載された。さらにマウス敗血症モデルおよび高酸素濃度下での肺感染症モデルにおいて併用療法における生存率への影響を見た。その結果、肺感染症モデルにおいて、感染後120時間後にカルバペネム単剤投与群においては生存率は0%であったのに対し、併用群では30%のマウスで生存が確認された。今後さらなる生存率の向上を目的として異なるマウスでの検討等を含め、各種マウスモデルの確立を行って行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H26年度に実施予定であった実験のやり残しが生じ、H27年度に実施することとなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
さらなる生存率の向上を目的として異なるマウスでの検討等を含め、各種マウスモデルの確立を行う予定である。また感染によっておきると考えられるサイトカインストームが併用治療によってどのような経時的変化を示すのかを検討していく。 現在までにNDMのアイソザイムは16種類確認されているが、これらのアイソザイムが発現している菌株、および本研究で確立したマウスモデル系を用いて各アイソザイム発現株間での併用効果の差について検討を行う。 Ca-EDTAはNDM-1産生菌のNDM-1に直接作用し、活性を阻害するが、実際どのように両薬剤がNDM-1産生菌体内に取り込まれているのかは不明である。菌種によっては取り込み量の違いによる併用効果に差がみられる可能性もある。そこで各種NDM-1産生菌のCa-EDTAとイミペネムの取り込みに関与するトランスポーター、外膜タンパクの発現量の違いを解析し、併用効果との相互関係を確認することを考えている。
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Causes of Carryover |
平成26年度研究実施計画のうち、やり残した実験が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ELISA関連試薬830千円、PCR関連試薬500千円、培地120千円、実験器具等150千円、マウス購入費用1400千円、合計3000千円。
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