2014 Fiscal Year Research-status Report
健常人およびブラジル産鶏肉由来CTX-M-8産生大腸菌の関連性の解明に関する研究
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25461524
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
石井 良和 東邦大学, 医学部, 教授 (90246695)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 薬剤耐性 / βラクタマーゼ / 大腸菌 / CTX-M-8 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、食品に混入する耐性菌がヒトの健康に与えるインパクトを解明することにある。これまでに、次世代シークエンサーを用い、健常人由来CTX-M-8産生大腸菌5株、2012年に臨床材料から分離された1株およびブラジル産鶏肉由来株5株を供試菌株として全ゲノム配列の決定を試みた。しかし、blaCTX-M-8の周辺構造を解読することはできなかった。 大腸菌の遺伝子型はヒト由来と食品由来の間で大きく異なっていたことから、プラスミドのゲノムの比較が必要であると考えた。 当教室が保有する次世代シークエンサー、MiSeqを用いて11株のCTX-M-8産生大腸菌の全ゲノム配列を決定した。しかし、blaCTX-M-8の周辺遺伝子構造を解読することはできなかった。EnglandのHospital Protection Agencyの共同研究から、一分子リアルタイムDNAシークエンサー PacBioを用いることが有用であるとの助言を得た。そこで、健常人由来CTX-M-8産生大腸菌1株を代表株として、大阪大学微生物病研究所との共同研究としてPacBioによる全ゲノム解析を実施した。その結果、blaCTX-M-8を保有するプラスミド全長の配列を解読すること、並びにblaCTX-M-8の周辺遺伝子構造を解明することに成功したとともに、IS10あるいはKluyvera ascorbataに由来するtransposaseに起因する遺伝子の繰り返し配列が原因で、MiSeqでは解読できなかったことが判明した。さらに、blaCTX-M-8はKluyvera ascorbataに由来することも合わせて明らかとなった。 現在、PacBioで得られた結果をレファレンス配列として、MiSeqで得られた塩基配列データをマッピングしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにMiSeqでは得ることが出来なかったblaCTX-M-8の周辺構造が明らかとなった。blaCTX-M-8の上流および下流にKluyvera ascorbataに由来するtransposaseをコードする遺伝子が存在し、blaCTX-M-8の起源となる遺伝子がKluyvera ascorbataに由来することが明らかとなった。現在、PacBioをレファレンス配列としてこれまでに得られたデータをマッピングする作業に入っており、解析は終了するものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
先に述べた如く、既に十分な塩基配列データを得ていると考えている。詳細な解析には着手したばかりであるが、今年度中にはプラスミド全長の解析も終了し、纏めることが可能だと考えている。
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Causes of Carryover |
平成27年度に全プラスミドゲノム塩基配列の決定を完了する。そのためにサンガー法によるDNA塩基配列決定が必要になることが予想される。しかし、平成27年度支給額の60万円では若干の不足が予想されるため、平成26年度の20,531円を次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
PCR法ならびにサンガー法によるDNAシークエンスに用いる試薬購入およびDNAシークエンス外注費用の一部として充当する。
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