2013 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア異常症における呼吸鎖複合体アセンブリーの解析
Project/Area Number |
25461539
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三牧 正和 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40392419)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ミトコンドリア異常症 / ミトコンドリアDNA / 呼吸鎖複合体 |
Research Abstract |
臨床情報の詳細な検討及び生検筋を用いた病理学的検査を経てミトコンドリア異常症が強く疑われる症例に対し、ミトコンドリアDNAの全塩基配列決定を行った。病因性が明らかな既知のミトコンドリアDNAを数多く見出した。なかでも、ミトコンドリアDNA変異 m.3243A>G変異が最多であり、過去20年以上に見出された患者数は累積で300例を超えた。その臨床症状や筋病理像の特徴をまとめ、遺伝子変異率との関係を解析して学会発表し、現在論文投稿準備中である。また、病因性が明らかでない新規変異も複数見出している。そのうち、ミトコンドリアDNA変異 m.9155A>Gについては、患者細胞を脱核し、ミトコンドリアDNAを失った細胞 (ローゼロ細胞) と融合させた細胞(サイブリッド) を作製して機能解析を行っている。その一部を学会発表し、現在論文投稿準備中である。 また、患者由来の初代培養細胞 (筋芽細胞あるいは皮膚線維芽細胞) あるいは生検筋からミトコンドリアを単離し、分光光度計を用いて呼吸鎖酵素活性を測定している。異常を見出した患者細胞につき、Blue Native 電気泳動(BN-PAGE)によって、複合体の量及び大きさを評価している。さらに、それに引き続きSDS-PAGEを行う二次元電気泳動 (2D-PAGE) により、個々の構成タンパクがどのように複合体を構成しているのかも明らかにする実験系も確立した。その一部を平成26年5月の日本小児神経学会で発表する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミトコンドリア異常症が疑われる患者につき、ミトコンドリアDNAの変異を複数見出すことができている。既知の変異を有する患者については、多数例による解析が可能な状況である。また、未知のミトコンドリアDNA変異についても、その病因性を証明することが可能である。 本研究においてもっとも重要な実験系の一つであるBlue Native 電気泳動(BN-PAGE)と、それに引き続きSDS-PAGEを行う二次元電気泳動 (2D-PAGE) につき、患者細胞を用いた解析も開始できているため、次年度以後に症例数を増やして研究をすすめていくことが可能となっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
病因性を証明できたミトコンドリアDNA変異を有する患者につき、臨床症状・経過を詳細に検討し、未診断の他患者の診断に役立つ情報を整理する。また、多数例の診断過程を整理し、本邦におけるミトコンドリア異常症の診断プロセスの確立を目指す。 また、ミトコンドリアDNAに変異のない患者については、核DNAの異常が病因である可能性が高い。このような患者由来の細胞あるいは生検検体を用いてBN-PAGE及び2D-PAGEを用いて呼吸鎖の大きさや量を評価する。異常のある患者については、その過程に関与する核遺伝子(複合体のサブユニット、既知のアセンブリー因子とその候補タンパクの遺伝子) の解析を行う予定である。アセンブリーの検討が、未知のアセンブリー因子の発見にも寄与すると考える。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度の使用額はほぼ計画通りであり、残額はわずかに14402円であった。無理に年度内に使用せず、次年度に繰り越すこととした。 14402円のほとんどすべては実験の物品購入に充てる予定である。
|