2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒストンメチル化機構の異常が神経幹細胞の細胞分裂動態に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
25461560
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
三橋 隆行 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80338110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小崎 健次郎 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30234743)
高橋 孝雄 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (80171495)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経発生 / 細胞周期 / エピジェネティクス / メチル化 |
Research Abstract |
高次脳機能の獲得はヒト中枢神経発達の中でも最重要項目である。高次脳機能の中枢である大脳皮質の発生は、遺伝プログラムに従って進行しつつ環境因子により影響されることが想定されている。神経幹細胞から前駆細胞を経て幼若な神経細胞が産生される過程は、大脳皮質を構成する興奮性ニューロンと抑制性ニューロン、グリアについて、それぞれ数のバランスや分布パターンが決定される極めて重要なステップである。この時期の正常発生メカニズムを解明し、さらに発生異常の原因となりうる種々の因子の関与様式について検討することは、小児における高次脳機能障害の病態解明、予防・治療法開発に不可欠である。 これまで発達遅滞に対して有効な治療法は存在しないと考えられてきたが、精神発達遅滞の重要な原因としてDNA塩基配列の変化を伴わない遺伝子発現メカニズムの異常が、中枢神経異常を合併する先天奇形症候群の病態メカニズムとして注目されている。本研究では過成長・悪性腫瘍の合併・精神発達遅滞を主徴とするSotos 症候群の原因であるヒストンメチル基転移酵素NSD1の機能異常に着目し、大脳皮質を形成する神経幹細胞の細胞分裂を促進する可能性について検討する。以上から、ヒストンメチル化が神経幹細胞の分裂動態に与える影響とその結果生じる大脳皮質発生障害の原因を解明する。 本年度は研究実施計画に従い、NSD1遺伝子に対するRNA干渉を生じるプラスミドの作成した。具体的には、NSD1タンパク発現量を減少することが可能なマイクロRNA(miRNA)をRNAi Designerで設計し、それらをもとに相補的なDNA配列を合成、pcDNA6.2-GW/EmGFP-miR プラスミドに挿入した(pcDNA-NSD1RNAi)。プラスミドを培養細胞(PC12)にトランスフェクトし、NSD1タンパクの発現量の減少をウエスタンブロット法で確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した平成25年度の研究実施計画として、前述の1)NSD1遺伝子に対するRNA干渉を生じるプラスミドの作成と、2)マウス子宮内にある胎児の側脳室にプラスミドを投与し、その後胎児側脳室周囲にある神経幹細胞に電気的パルスをかけることで取り込ませる実験(子宮内電気穿孔法)、の二点を計画していた。平成25年度に上記1)が完了し、2)が現在進行中であることから、おおむね当初の計画通り研究が進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度も研究実施計画に則り着実に研究を実施する予定である。一方これまでの実験で、対照コントロールプラスミドを子宮内電気穿孔法で投与した群において、神経幹細胞の細胞死が非投与群と比較して増加する傾向が認められている。以上の現象は、本研究提案の目的の一つであるin vivoでの神経幹細胞細胞分裂動態解析に必要な非同期的細胞分裂がなされない可能性を示唆しており、将来的には子宮内電気穿孔法ではなく上記プラスミドをもとにトランスジェニックマウスを作成することを検討している。
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