2013 Fiscal Year Research-status Report
視線解析を用いた高機能自閉症スペクトラム障害の早期発見法と社会適応訓練法の開発
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25461566
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
石崎 優子 関西医科大学, 医学部, 准教授 (20411556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長濱 輝代 大阪市立大学, その他の研究科, 准教授 (40419677)
中村 加枝 関西医科大学, 医学部, 教授 (40454607)
則武 厚 関西医科大学, 医学部, 助教 (80407684)
柳夲 嘉時 関西医科大学, 医学部, 助教 (90610353)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自閉性スペクトラム障害 / 視線滞留時間 / 早期発見 / 定型発達 / 視線パス |
Research Abstract |
視線計測法を用いた発達障害の研究では、人の顔を提示した際に定型発達(TD)青年は眼を見るのに対し、自閉症スペクトラム(ASD)障害者は口を見ると報告されている。しかし小児では10歳程度のTDでも口を見るという報告もあり、知見は一定していない。また視覚刺激の多い学校や幼稚園での日常生活場面を視覚刺激として用いた報告はない。本年度は日常生活場面でのTD児の視線の滞留時間を就学前児と思春期児とで比較し、発達障害児の早期発見法確立のための基礎的データを収集した。 対象は就学前(3~6歳、男児7名)22名と思春期13名(12~15歳、男子9名)のTD児である。視線計測は、iView Xを用い、視覚刺激として人の顔ならびに子どもの日常生活における社会的場面を8秒間提示した際の眼球運動を記録し、人の顔では目、社会的場面では顔と指し示す先に滞留する時間を、2群間で比較した。統計学的解析にはMATLAB R2013aを用い、Mann-Whitney検定にて検定した。その結果、人の顔では、就学前群でも思春期群と同様に目に集中していた。社会的場面の学校の教室では両群とも教師の顔と指し示す先を見ていたが、黒板の漢字への滞留時間は思春期群で有意に長かった。TD児では学校の教室を経験していない就学前児でも、生得的に教師の顔と指し示す先を見ており、それにより人の意図が理解できると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は定型発達児(TD)のデータを収集し、十分な解析を実施しえた。引き続き自閉性スペクトラム障害(ASD)児のデータも収集し、解析を進めている。TD、ASD児ともに解析統計学的解析が可能なサンプル数を収集することができた。現在TD児とASD児の視線滞留時間の比較までは進んでおり、引き続き視線運動のパターン(視線パスの解析)を実施する予定である。とって当初の研究計画に沿っておおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ASD児の日常生活の社会的場面への視線滞留時間を分析し、定型発達児と比較して、幼児期における早期発見法を開発する。 現在ASD児の視線滞留時間の解析を続けており、ASD児とTD児とは視線滞留のパターンが異なることが判明している。今後、引き続き、ASD児とTD児とが視覚刺激場面のどこをどの順で見るのか(視線パス)を解析する。最終的には人の顔や指差す先の周囲への視線滞留時間と視線パスのパターンを組み合わせて、ASD児のスクリーニング法を開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
視覚刺激画像の作成、解析、並びにデータ収集の環境整備のために、より専門的な機器やツールを購入する必要があると考えていたが、予想外にデータ収集や解析が簡便な装置で可能であったため、これらを購入していないことが一つの原因である。 さらにパス解析までを初年度に実施し終える予定であったが、まだ着手したばかりであり、それに要する費用を次年度に繰り越すこととなった。 新たに視線パス解析に使用する解析ソフトを購入する。 そのほかに視覚刺激画像として新たに動画の使用を計画している。動画の作成、編集、ならびに動画のプログラミングに前年度の繰越金を使用する。
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Research Products
(5 results)