2014 Fiscal Year Research-status Report
視線解析を用いた高機能自閉症スペクトラム障害の早期発見法と社会適応訓練法の開発
Project/Area Number |
25461566
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
石崎 優子 関西医科大学, 医学部, 准教授 (20411556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長濱 輝代 大阪市立大学, その他の研究科, 准教授 (40419677)
中村 加枝 関西医科大学, 医学部, 教授 (40454607)
則武 厚 関西医科大学, 医学部, 助教 (80407684)
柳夲 嘉時 関西医科大学, 医学部, 助教 (90610353)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 視線解析 / 自閉症スペクトラム障害 / 思春期 / 乳幼児 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳幼児~思春期の発達障害児と定型発達障害児の視覚刺激に対する眼球運動測定を分析し、発達障害の早期発見ならびに療育指導に資することを目的とし、乳幼児~思春期の自閉症スペクトラム障害(ASD)児30名、年齢をマッチングした定型発達児30名を対象として、視覚刺激場面に対する眼球運動を記録し分析した。 視覚刺激場面として、①人の顔(喜怒哀楽)、②教室の風景4種類、③保育園の風景、④人のいる公園、⑤スポーツ選手の競技場面などを提示し、iView Xにより視線の動きを測定し、刺激場面でのオブジェクトへの停留時間と移動のパターンを解析した。 その結果、ASD児では定型発達児と比較して、人の顔を視覚刺激として際の目に注目する時間、教室場面を視覚刺激とした際に教師が指差す先の黒板に注目する時間が、有意に短かった。特に教室場面に関しては、定型発達児では今だ教室を経験していない未就園児でも教師の顔と指差す先を見ているが、ASD児では義務教育の終了に次回中学生でも教師の顔や指差す先をしないことがわかった。 これらの結果から、ASD児ではヒトがコミュニケーションの際に言葉以外に意志を伝える目や顔の表情、何らかの課題を説明する際の指差しをみないために、他者の意図や課題の意味が理解できないと考えられる。 この結果から導かれた今後の発展性として、今回用いたような視覚刺激画面を発達障害児の療育訓練に用い、社会におけるソーシャルスキルトレーニング法を開発したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度、2年度で約200名の研究参加者を得、データを蓄積した。うち100名は静止画を用いて、研究概要の成果を経ている。研究成果の一部は学会発表し公表したが現在、論文化に向けて詳細なデータ解析中である。さらに静止画での結果から視覚刺激として動画を導入した。残りの100名は動画を用いてデータを集積している。引き続きデータを解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
[現在までの達成度]に示す通り、当初の予定していた研究(静止画を視覚刺激とした研究)は十分なサンプル数のデータの収集を終えており、現在論文化に着手している。 引き続き、動画を用いた研究(当初の計画以上の進展)を開始しており、最終年度中に終了予定である。 同時に静止画を用いた療育訓練も開始しており効果評定も予定している。
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Causes of Carryover |
研究は順調に進捗している。 当初、乳幼児の視線解析データを収集するために乳幼児が座る特殊な座椅子もしくは計測機器と一体化した固定装置が必要と考えていたが、通常の椅子と顎台の工夫により、前述の装置を購入することなく、データ収集が可能であった。 そのため、実験環境の設置に必要と考えていた予算が不要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在、機器購入に予定していた予算を用いて、当初の予定にはなかった発展的な課題(動画を用いた研究)を開始している。データの収集は順調に進捗しており、今年度は解析を行う。昨年度の繰越金は解析にあたり必要となるソフトの購入に充てる予定である。
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