2015 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウムチャネル遺伝子変異が引き起こすてんかん性脳症の発症機序解明
Project/Area Number |
25461572
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
荻原 郁夫 日本医科大学, 医学部, 准教授 (30373286)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | てんかん性脳症 / 自閉症スペクトラム障害 / ナトリウムチャネル遺伝子 / 興奮性神経細胞 / 抑制性神経細胞 / 脳・神経 / 神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
電位依存性ナトリウムチャネルα2(SCN2A)遺伝子は、乳幼児発症てんかん性脳症、自閉症、そして知的障害の責任遺伝子として報告されており、近年、その症例蓄積が急速に進んでいる。本研究の目的は、てんかんや自閉症、知的障害に関わる脳神経回路を同定し、病態理解と治療法開発に貢献することである。本研究の実施計画は、次に挙げる3項目「1、SCN2A遺伝子産物(Nav1.2)のマウス脳内発現局在様式の解析」「2、てんかんモデルマウス確立を目指したヘテロ接合型興奮性神経細胞特異的SCN2A遺伝子破壊マウスとヘテロ接合型GABA作動性インターニューロン特異的SCN2A遺伝子破壊マウスの解析」「3、知的障害モデルマウス確立を目指したヘテロ接合体SCN2A遺伝子ノックアウトマウスの空間学習能力と文脈記憶能力の解析」から構成されている。 項目1について、GABA作動性神経細胞特異的に緑色蛍光タンパク(GFP)を発現するトランスジェニックマウスを抗Nav1.2抗体ならびに抗GFP抗体を用いた蛍光免疫染色法にて解析し、Nav1.2を軸索起始部に発現する抑制性神経細胞サブタイプを海馬や大脳皮質に見出した。項目2について、興奮性神経細胞、あるいは抑制性神経細胞特異的SCN2A遺伝子破壊マウスにけいれん惹起剤(ペンチレンテトラゾール)を腹腔内に投与し、けいれん発作に至る潜時を記録したが、コントルール群との間に有意な差は認められなかった。項目3について、バーンズ迷路テストはSCN2A遺伝子ノックアウトマウスに空間学習能力の低下を認めた。また、恐怖条件付けテストと恐怖消去テストは、SCN2A遺伝子ノックアウトマウスが恐怖刺激に敏感で、恐怖体験が記憶から消去されにくいことを示唆した。以上の研究成果について、投稿論文を準備している。
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