2013 Fiscal Year Research-status Report
病因性ミトコンドリアDNA複製遅延によるミトコンドリア関連疾患治療の検討
Project/Area Number |
25461573
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
越川 信子 千葉県がんセンター(研究所), がん遺伝創薬研究室, 研究員 (90260249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 隆義 千葉県がんセンター(研究所), がん遺伝創薬研究室, 研究員 (60526060)
永瀬 浩喜 千葉県がんセンター(研究所), 研究所, 研究所長 (90322073)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ミトコンドリアDNA / PI ポリアミド / mtDNA 変異 / 疾患特異的mtDNA変異 |
Research Abstract |
MELASのミトコンドリアDNA変異サイトとして3243番目の変異が約80%を占めいている。そこでこの3243番のAからGの変異に対し、PIポリアミドの作製を行った。3243番の遺伝子をGとして、その前後を含む配列に対し2種類の単純ヘアピン構造のPIポリアミドを作製した。純度の高いPIポリアミドを得るため合成室の改良を行ない、2種類のPIポリアミドの合成に成功した(PIP1, PIP2)。連携研究者から分与を受けた、Cybrid(HeLa細胞にMELAS患者のミトコンドリアDNA 3243番目のGの変異を82%もつCybrid1とCybrid作製方法に準じて正常なヒトミトコンドリアDNAを有する Cybrid2-対照)を用い、上記2種類のPIポリアミドでの処理を試みた。Cybrid2-対照は増殖が遅く、細胞の濃度を下げすぎると極端に増殖速度が低下するため、実験のための細胞数については再試行を繰り返した。またPIポリアミドの溶媒として、数種類を試し、数日を経ても顕微鏡下で結晶化を起こさなかったDMSOにより溶解し、細胞に投与することとした。この際も、1μMが結晶化を起こさない上限であった。PIポリアミド投与の結果、Cybrid2-対照細胞が死にCybrid1細胞には大きな変化が認められなかった。さらに、PIポリアミド投与期間を最長2週間で行ったが、ミトコンドリアDNAに効果を与えるには、ミトコンドリアのDNA量の多さを考慮すると短すぎる可能性が考えられた。またCybrid2-対照細胞に影響が少なく、Cybrid1細胞の増殖に影響を与える、PIポリアミドそのものの構造、即ち標的遺伝子配列を変更したポリアミドの合成が必要であり、鋭意企画中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1。PIポリアミドの構造に合成上、溶解性の低いDNA配列が含まれていたため、構造の改訂を検討しなくてはならなくなった。さらに、関連研究でPIポリアミドに遺伝子発現抑制物質(メチル化物質)等を付加したほうがDNA転写抑制に効果的である事が判明し、当該研究においても検討する有用性がでてきた。 2。培養細胞が特殊なcybridであり、さらにmycoplasma感染が研究後半時期に認められたため、その除去が必要となった。また、変異ミトコンドリアDNAの含有率の異なる細胞が得られた事から、 PIポリアミドの効果を比較する方法に工夫が必要となった。3。研究代表者の体調不良のため、休養、投薬治療が必要な期間が生じてしまった。しかし、治療によって良好な状態に改善されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
DMSOで溶解するPIポリアミドについて、現在のPIP1,2以外にDNA配列を変えたポリアミドを複数作製するとともに、研究協力者の出したアルキル化剤等の結合によるポリアミドの効率的な遺伝子発現抑制が、ミトコンドリアDNA抑制に効果をもたらすかの検討を行う。また、PIポリアミドがミトコンドリアだけに取り込まれるか、核にも取り込まれるのかを蛍光色素ラベルしたポリアミドで再確認する。さらにCybridで異常ミトコンドリアDNA含有率55%の細胞株も得られたことから、既存の2種類の細胞との性状の違いを文献を参考にするとともに、microarrayによって解明する。同時に、各細胞の生理的変化(ROS産生、増殖能の変化)の未だ不明な点についても検討を行う。これによってPIポリアミドの効果を明確にできるものと考える。さらに、未処理のHeLa細胞との性状比較、及びPIポリアミド処理によるポリアミドのspecificityの検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
PIポリアミドの合成が、ミトコンドリアDNA異常の前後の配列から難しいため、さらに複数の配列の異なるPIポリアミドの作製、ポリアミドの修飾に、予備実験が必要であるため、H26年度に助成金を残した。 PIポリアミドの合成に関して、既存の溶媒、溶質よりも効果的に精製度の高い合成物が得られる可能性が生じたため、その購入にむけて助成金をH26年度用に残した。また、使用する細胞の性状変化を調べるために有効な試薬、キットの購入にむけて、助成金をH26年度用に残した。さらに、細胞培養に用いるFBSの購入にもまとまった金額が必要と思われるため、助成金をH26年度用に残した。
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