2013 Fiscal Year Research-status Report
リポソーム投与により誘導されるMDSC様細胞の機能発現に関わる分子基盤の解明
Project/Area Number |
25461578
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
東 寛 旭川医科大学, 医学部, 教授 (00167909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷野 伸 旭川医科大学, 医学部, 講師 (30312458)
長森 恒久 旭川医科大学, 医学部, 助教 (40400098)
高橋 弘典 旭川医科大学, 大学病院, その他 (50431408)
岡嶋 一樹 旭川医科大学, 大学病院, その他 (70213931)
酒井 宏水 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70318830)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | regulatory macrophage / liposome / B7 family / B7-H3 / CD276 |
Research Abstract |
ratに尾静脈からリポソームを投与し、その翌日に脾臓を摘出し、磁気ビーズにて、CD11b/c陽性細胞rich分画を回収した。回収した細胞のほぼ50%はCD11b/c陽性細胞であった。そこからRNAを抽出後、cDNAの合成およびcRNAのラベルと増幅をおこなった後、マイクロアレイ ( whole rat, 44,000 gene, Agilent Technologies) にアプライし、リポソーム貪食後に発現の増強している遺伝子を調べた。生理食塩水 (コントロール) 投与後とリポソーム 投与 後の結果を比較し、前者と比較して2.6倍以上発現量の差がみとめられた場合を有意な増強と判定した。その結果、遺伝子発現が2回の施行でともにコントロールの2.6倍以上であった遺伝子が168個確認された。その中で、免疫応答に関与すると推定されるもとして、Matrix metalloproteinase p14 (Mmp14), Chemokine(C-C motif) ligand 9 (Ccl-9), IL-18 binding protein (IL-18bp), IL-1α, CD276 (B7-H3) が挙げられた。Ccl-9, IL-18bp, IL-1α はいずれも主としてマクロファージの産生する物質であることから、リポソーム貪食後に免疫応答抑制機能を持つようになるマクロファージ (免疫抑制性マクロファージ) を特徴付ける遺伝子発現パターンと考えられた。一方、CD276 はB7 familyの一つで免疫応答の制御に関わる分子である。その機能に関しては、T細胞機能を促進するあるいは抑制するという相反する2つの報告がある。我々の系においては、CD276がT細胞の増殖抑制に関与している可能性があると推定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リポソーム貪食後に免疫抑制性機能を獲得したマクロファージ(抑制性マクロファージ)の作用機序の分子基盤を明らかにすることである。その為に、まず、その遺伝子発現プロファイルから、機能に関与している分子をの候補を見つけることを目指していたが、 DNA マイクロアレイ法により、抑制性マクロファージを特徴つける遺伝子発現プロファイルを明らかにすることができた。かつその中に、T細胞の免疫応答の制御に深く関わっていることが明らかになっているB7 familyにする分子であるCD276 (B7-H3) が含まれていることが明らかになった。この分子が抑制性マクロファージの機能発現に関わっている候補分子の一つと見なして、今後の研究を進めてゆくことができる。 また、リポソームの貪食によりその発現が増強される遺伝子群を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
リポソームにより誘導された抑制性マクロファージではT細胞の免疫応答の制御に関わっているとされる、CD276分子の遺伝子発現が増強していることが明らかになったので、今後はこの分子の蛋白レベルでの発現の変化について検討してゆく。ラットでは、細胞表面に発現しているCD276分子をフローサイトメータで検出できる抗体がないので、ウエスタンブロットによる検討を行う。同時にCD276分子の発現を抑制することで、免疫応答の抑制機能が影響を受けるかどうかも平行して検討する。 また、サイトカイン・ケモカイン産生への影響に関するデータも積極的に検討してゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験補助員の交代による研究進展の遅れがあり、計画したことの一部しか本格的な実験ができなかった。 一方で、DNA array を用いた、2回の実験結果により、想定よりも短期間で一定の進展が得られた。 以上の事から、研究費の使用が当初の予定より少ないままで推移した。 次年度においては、得られた結果に基づいて、予定している実験を遂行してゆく。研究の進展によっては、ラットの系から、マウスの系にシフトする必要が見込まれるので、あたらた実験系の構築の為に、研究費を投入することも想定している。
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