2014 Fiscal Year Research-status Report
リポソーム投与により誘導されるMDSC様細胞の機能発現に関わる分子基盤の解明
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25461578
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
東 寛 旭川医科大学, 医学部, 教授 (00167909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷野 伸 旭川医科大学, 医学部, 講師 (30312458) [Withdrawn]
長森 恒久 旭川医科大学, 医学部, 助教 (40400098)
高橋 弘典 旭川医科大学, 大学病院, その他 (50431408)
岡嶋 一樹 旭川医科大学, 大学病院, その他 (70213931)
酒井 宏水 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70318830)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | regulatory macrophage / liposome / B7 family / B7-H3 / CD276 / MDSC |
Outline of Annual Research Achievements |
リポソームを投与する事によりラットの脾臓にT細胞の増殖を抑制するマクロファージが誘導される。一昨年に、このマクロファージの遺伝子発現プロファイルを解析した結果、168個の遺伝子が再現性をもって、その発現が増強していた。この中で、免疫応答に関与すると推定される遺伝子として、matrix metalloproteinase 14 (Mmp14), Chemokine (C-C motif) ligand9 (Ccl 9), IL-18 binding protein (IL-18bp), IL-1a, CD276 (B7-H3)が挙げられた。特にCD276はB7 familyの一つで免疫応答の制御に深く関わる分子であり、我々の系においても何らかの役割を果たしていると推定し、蛋白レベルでの解析を進めた。Western blotによる解析では、CD276蛋白のあきらかな増加を認めなかった。しかしながら、flow cytometerにより細胞表面への発現を検討した結果、リポソームを貪食した脾マクロファージにおいて、CD276の発現の増加を認めた。一方で、同じB7 familyに属する分子であるCD274の発現には明らかな変化はなかったので、CD276分子の発現増強は特異的であると考えられる。この事は、CD276分子の発現が、T細胞の増殖抑制に関与している事を示唆する。 同時に、脾細胞の培養系における、サイトカイン・ケモカインの産生への影響について、網羅的解析を行った。その結果、リポソームの投与により、IFN-g, TNF-a, IL-10の産生が増強する事が明らかとなった。 一方、いままでの実験系では、ラットの循環血液量の20%(v/v)のリポソーム溶液を投与していたが、その1/10量でもT細胞の増殖を抑制できる事が判明した。これは、リポソームが免疫抑制剤としても利用できる可能性を示唆するデータと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)サイトカイン・ケモカインの産生動態を明らかにできた、2)CD276分子に関しては、細胞表面への発現量を検討したところ、その明らかな増強を証明できた。この2点は、26年度の検討目標に挙げた事項である。
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Strategy for Future Research Activity |
CD276の関与について更なる検討を加える。例えば、抗体によるブロッキングにより抑制効果が解除される可能性等について検討する。
また、CD276の発現増強は、リポソームを捕捉したマクロファージが活性化された事を示していると考えられるので、活性化にいたる細胞内のシグナル伝達経路を明らかにして行きたい。
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Causes of Carryover |
計画に沿って、蛋白レベル(Western blot)での解析をCD276分子に焦点を当てて行っていたが、よい抗体が得られ無かったこと、および結果の再現性を得るのに多くの時間を割かなければならなかった。そのため、物品費の消費が、予想に反して少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、得られた結果に基づき、CD276分子の関わりに関して予定している実験を遂行する。 また、リポソームがマクロファージを活性化する可能性が出てきたので、その経路について詳細な検討を行う。具体的にはMAP kinaseあるいはNFkbを介した活性化の可能性について検討する。 状況次第では、補助金の一部を実験補助員の確保に充当する。
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Research Products
(5 results)