2015 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー疾患におけるサイトカイン受容体小胞輸送と受容体遺伝子多型
Project/Area Number |
25461586
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
竹下 敏一 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (60212023)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | サイトカイン受容体 / アレルギー / 受容体遺伝子多型 / 小胞輸送シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
増殖因子やサイトカインで活性化された受容体は、細胞内に取り込まれた後、小胞輸送と呼ばれる細胞内輸送を経て分解される。受容体にユビキチンが結合することをユビキチン化と言うが、このユビキチン化が小胞輸送のシグナルの1つとなっている。我々はIL-2受容体β鎖(IL-2Rβ)、IL-4受容体α鎖(IL-4Rα)が従来の受容体と異なり、ユビキチン「非依存性」に小胞輸送されることを明らかにして、ユビキチン“非依存性”小胞輸送ルートの存在を証明した。このユビキチン“非依存性”小胞輸送の不全が、受容体からのシグナルの増強をもたらしたことから、この小胞輸送ルートを辿るサイトカイン受容体の輸送不全とアレルギー疾患との関連を探索して、医学基盤を整えることを目的とした。55人のアトピーおよび喘息のある小児の末血よりDNAを抽出し、IL-4Rαの細胞内領域の解析を行った。5人において疎水性アミノ酸クラスター、IL-4Rα(LFLDLL)のN末方向から5番目のロイシン(L)にG/T変異を見出したが、残念ながらこれはCTG/CTT (Leu/Leu)でアミノ酸の変わらないサイレンス変異であった。これまでIL-4Rα遺伝子座の網羅的な解析から、喘息と576番目のグルタミンがアルギニンに置換する遺伝子多型(Q576R)との関連が報告されている。我々の解析では55人中11名の同遺伝子多型を見出した。その他の報告のある遺伝子座としては喘息とアトピーに関わると考えられているE400A並びにアトピーとの関連が報告されているC431Rがあり、前者は7名、後者は6名を見出した。一方、これまで報告のない遺伝子座を2つ同定した。1つはGからAの変異でTCG/TCA (Ser/Ser)となりサイレンス変異であった。もう1つはAからGの変異でAGC/GGC (Ser/Gly)となるが1名のみで、その意義付けはこれからの課題である。
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