2015 Fiscal Year Research-status Report
小児がん患者における輸血後鉄過剰症に対する鉄キレート療法の有用性
Project/Area Number |
25461599
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古賀 友紀 九州大学, 大学病院, 助教 (60398071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大園 秀一 久留米大学, 医学部, 助教 (10309784) [Withdrawn]
大場 詩子 九州大学, 大学病院, その他 (20624935) [Withdrawn]
岡本 康裕 鹿児島大学, 医学部, 准教授 (30398002)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 輸血後鉄過剰症 |
Outline of Annual Research Achievements |
【はじめに】輸血後鉄過剰症は、心臓・内分泌・造血機能低下などをきたすだけでなく、移植後非再発死亡危険因子となる。内科領域において、鉄キレート療法により臓器障害が軽減され移植成績が向上したと報告されている。 【目的】進行期固形腫瘍患児における輸血後鉄過剰症(小児基準:濃厚赤血球輸血 50ml/kg以上、フェリチン値1000ng/ml以上)に対する鉄キレート療法(デフェラスロクス内服)の有用性を検討する。 【対象・方法】2009年4月-2011年12月に入院した固形腫瘍患児80例のうち、転移を有し自家末梢血幹細胞移植適応と判断した進行期固形腫瘍21例を対象とした。2011年4月以降に輸血後鉄過剰症と診断した例にデフェラシロクスを投与。内服が苦手な乳幼児にはフレーバー添加によりコンプライアンス向上を図り、フェリチン値500ng/ml未満まで内服継続。非投与群および投与群における移植後フェリチン値の推移を比較検討した。 【結果】輸血後鉄過剰症の基準を満たしたのは13例(非投与群7例、投与群6例)。非投与群および投与群の患者背景に有意差なし(発症年齢4歳4か月(9か月-6歳4か月) vs 2歳6か月(8か月-11歳10か月)、男/女 5/2 vs 3/3、濃厚赤血球輸血186ml/kg(117-332) vs 109ml/kg(100-211)、移植前フェリチン値1656ng/ml(1071-1768) vs 1643ng/ml(1278-1949))。投与群はフレーバー添加による工夫にて全例内服可能であり重篤な有害事象なく経過、移植後75日(45-180)にフェリチン値500 ng/ml未満となり投与中止。非投与群における移植半年後フェリチン値は投与群に比べて有意に高く1210ng/ml(810-2557) vs 261ng/ml(154-1187) (p=0.016)、移植1年後でも非投与群における血清フェリチンは高値であった (1108 ng/ml(421-2202))。 【まとめ】デフェラシロクス投与による重篤な有害事象はみられず、全例内服可能であった。輸血後鉄過剰症診断早期のデフェラスロクス投与は臓器障害の軽減につながることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当科で行った鉄キレート療法についてまとめた。前向き試験に向けてのエビデンス作成ができたが、多施設試験に向けての準備が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
各施設におけるIRB承認および検体収集のサポートを行う。
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Causes of Carryover |
多施設からの検体収集に備えたもの
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
多施設からの検体収集、処理に使用
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