2014 Fiscal Year Research-status Report
新規機序による先天性溶血性貧血の病態体系への組み入れと新しい診断法の確立
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25461609
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
菅野 仁 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70221207)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 先天性溶血性貧血 / 赤血球膜骨格蛋白 / 次世代型シーケンサー / 全エクソーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は一般臨床検査にて診断を確定することが困難な溶血性貧血症例を対象としたスクリーニング検査を実施してきたが、2004~2011年における291例の検討では、約33%に確定診断を得られなかった。今年度、診断未確定症例について次世代型シーケンサーを用いた全エクソーム解析により病因候補遺伝子同定を試みた。 赤血球形態から遺伝性球状赤血球症(HS)が疑われながら、赤血球浸透圧抵抗試験(OF)、eosin 5’-maleimide(EMA)結合能などの検査結果から確定し得なかった4症例(グループA)、著しい大小不同、破砕赤血球、奇形赤血球などの赤血球形態異常を呈した重症の先天性溶血性貧血10症例(グループB)、および赤血球形態異常のない36例(グループC)、併せて50例を対象にした。サンプルはイルミナ社HiSeq2000で全エクソーム解析後、各種データベース等を用い病因候補遺伝子変異を同定した。 50例中10例に8種の赤血球膜骨格蛋白遺伝子変異を同定した(新規6種、既報2種)。グループAでは4例中の3例(約75%)、グループBでは10例中の3例(33%)、グループCでは36例中4例(11%)が赤血球膜異常症と判明した。 今回の結果から、1)HSのスクリーニング検査が陰性でも典型的な小型球状赤血球が観察される場合、2)奇形・破砕赤血球が目立つ場合、および3)既存のすべてのスクリーニング検査が陰性の場合には、赤血球膜骨格蛋白遺伝子の網羅的遺伝子検査が診断に重要であることが明らかになった。さらに、赤血球形態異常が新生児期に頻回の交換輸血を必要とした例や輸血依存性の例など、赤血球を用いた特殊検査が出来ない症例においても、遺伝子検査は極めて診断に有用であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
家族歴があり、典型的な小型球状赤血球を認め、赤血球EMA結合能やグリセロール溶血試験などのスクリーニング検査が陽性の場合、遺伝性球状赤血球症の診断は容易である。一方、非典型例の診断には、赤血球膜蛋白のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動やエクタサイトメーターを用いた赤血球膜機能検査が必要であり、臨床検査レベルでは実施不可能であった。 今回の結果から、複数の赤血球膜骨格蛋白遺伝子を網羅的に解析することが診断未確定の先天性溶血性貧血の診断上、極めて有用であることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
新規の先天性溶血性貧血病因遺伝子が明らかになり、ヘモグロビン・赤血球膜・赤血球酵素などの遺伝子検査が確定診断に有用であることが明らかとなった。さらに鑑別疾患として重要視されていた先天性赤血球異形成貧血(CDA)はtype1~4までのサブタイプに対応した病因遺伝子(CDAN1、SEC23B、KIF23、KLF1)が同定された。 これら先天性溶血性貧血病因遺伝子及び周辺疾患の病因遺伝子の合計67種類をターゲット・キャプチャー・リシーケンシングする体制を現在構築中である。
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Causes of Carryover |
HRM法からターゲットキャプチャーシーケンシングへ法による網羅的遺伝子解析へと研究方法を変更したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
網羅的遺伝子解析を実施する方向で事前準備が進んでおり、プロトコールが確立次第、順次解析を進めていく。
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article] Mutations in Kruppel-like factor1 cause trasfusion-dependent hemolytic anemia and persistence of embryonic globin gene expression2014
Author(s)
Viprakasit V, Ekwattanakit S, Riolueang S, Chalaow N, Fisher C, Lower K, Kanno H, Tachavanich K, Bejrachandra S, Saipin J, Juntharaniyom M, Sanpakit K, Tanphaichitr VS, Songdej D, Babbs C, Gibbons RJ, Philipsen S, Higgs DR
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Journal Title
blood
Volume: 123
Pages: 1586-1595
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Deficiency of nicotinamide mononucleotide adenylyltransferase3(nmnat3) causes hemolytic anemia by altering the glycolytic flow in mature erythrocytes2014
Author(s)
Hikosaka K, Ikutani M, Shito M, Kazuma K, Gulshan M, Nagai Y, Takatsu K, Konno K, Tobe K, Kanno H, Nakagawa T
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Journal Title
J Biol Chem
Volume: 289
Pages: 14796-14811
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Loss of function mutations in RPL27 identified by whole-exome sequencing in Diamond-Blackfan anaemia2014
Author(s)
Wang R,Yoshida K,Toki T,Sawada T,Uechi T,Okuno Y,Sato-Otsubo A,Kudo K,Kamimaki I,Kanezaki R,Shiraishi Y,Chiba K,Tanaka H,Terui K,Sato T,Iribe Y,Ohga S,Kuramitsu M,Hamaguchi I,Ohara A,Hara J,Goi K,Matsubara K,Koike K,Ishiguro A,Okamoto Y,Watanabe K,Kanno H,Kojima S,Miyano S,Kenmochi N,Ogawa S,Ito E
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Journal Title
Br J haematol
Volume: 168
Pages: 854-864
DOI
Peer Reviewed
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