2014 Fiscal Year Research-status Report
小児期急性腎障害(AKI)後の慢性腎臓病(CKD)への進展に関する基礎的検討
Project/Area Number |
25461627
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
西田 眞佐志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50275202)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜岡 建城 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60189602)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 急性腎障害 / 慢性腎臓病 / 先天性心疾患 / 造影剤腎症 / 尿中L型脂肪酸結合蛋白 |
Outline of Annual Research Achievements |
先天性心疾患患児(CHD児)では、高度の心不全やチアノーゼによる腎障害とともに、外科手術や造影剤使用時の急性腎障害(AKI)、およびその後の慢性腎臓病(CKD)への進展が懸念される。今回、CHD児において腎機能と心臓カテーテル検査(心カテ)時の造影剤使用の影響を検討した。当科にて心カテを行った6歳以上のCHD児14名(6-20歳、平均11.6歳)について、カテ前後で血清Cr、血清シスタチンC(Cys C)、尿中L型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)、尿蛋白、尿中アルブミン(alb)、尿中β2-microglobulin(BMG)、尿中NAG値について検討した。カテ前検査でCr-eGFRは平均110.1、Cys C-eGFRは平均104.4 ml/min/1.73m2(90未満はともに2名)であり、カテ翌日でこれらに有意な悪化は認めなかった。尿中L-FABPはカテ前で平均3.2 ug/gCrで全例基準値(8.4以下)であったが、カテ翌日に10例が基準値を超え(3.0-98.7、平均23.6)、このうち経過を追った5例全例で正常化した。尿蛋白/Crはカテ前で全例0.2 g/gCr未満、尿中albはカテ前2.6-94.2 mg/gCr(平均26.4)で、尿中albは9例で基準値(10.0以下)を超えていたが、カテ翌日でいずれも有意な悪化は認めなかった。尿中BMGはカテ前33-425 ug/gCr(平均181)、カテ翌日では3例が基準値(206以下)を超え1.5倍以上の上昇を認めた。尿中NAGはカテ前1.6-21.1 U/gCr(平均5.8)で2例が基準値(10.8以下)を超えており、カテ翌日ではさらに3例が基準値を超え上昇した。CHD児の一部に腎機能障害を認め、また多くは心カテ後に一過性の尿中L-FABP値の上昇を認め、尿細管周囲の血流障害が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
急性腎障害(AKI)を呈するマウスモデルを作成したが、これを用いた慢性腎臓病(CKD)への進展のメカニズムについての解析は遅れている。しかし、実臨床における血液、尿サンプルを用いた解析を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、より臨床面に即した研究としていくために、小児先天性心疾患患児における急性腎障害(AKI)後の慢性腎臓病(CKD)への進展についても、血液、尿サンプルなどによる腎障害バイオマーカーを用いた研究を進めていく予定である。
|
Research Products
(9 results)