2015 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素が心臓形態形成期の胎児心血行動態に及ぼす影響について
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25461650
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
桃井 伸緒 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (10285033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 良倫 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (30509469)
金井 祐二 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (60448628)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 胎児 / 低酸素 / 心血行動態 / フェニトイン |
Outline of Annual Research Achievements |
胎児は低酸素に対して高い耐容性を有し、選択的血管収縮により、より多くの血流を生命維持に必要な組織へ供給させる血流再配分を起こすことが知られている。しかし、妊娠初期の胎内観察研究はない。本研究では、心臓形態形成期にあたる妊娠初期の胎児が低酸素に対して示す心血行動態を、小動物用超音波高感度イメージングシステムを用いてマウス母体内で観察した。母体を低酸素環境に曝すことなく胎仔を低酸素環境に置く方法として、胎仔心筋に強く発現している遅延整流カリウムチャネルの中のIKrチャネルをブロックするフェニトインを使用した。母体に皮下注するフェニトイン量を50mg/kg、75mg/kg、100mg/kgと変えて母体および胎仔血行動態を観察すると、母体の心拍数に有意差はなかったが、胎仔の心停止率は用量依存性に上昇し、心停止していない胎仔の心拍数も用量依存性に低下することが示された。また、ドプラ法による体内血流量観察でも、胎仔の頸動脈および背側大動脈血流量は用量依存性に低下した。組織低酸素の状況を組織低酸素マーカー pimonidazole hydrochloride を用いて評価した。生理食塩水投与群に比して、フェニトイン投与群で胎仔組織は低酸素状態であることが示されたが、胎仔内の血流再分布まで明らかにすることはできなかった。そのため、最終年度は組織低酸素で誘導される血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor: Vegf)を用いて、血流再分布を評価することを試みた。現在までの検討では、フェニトイン投与前後で頭部組織のVegfに変化を認めなかったが、体部組織のVegfの発現は増加しており、心臓形成期の妊娠初期胎仔においても血流再分布の存在が示唆された。さらにVegfの検討を進めるとともに低酸素で誘導されるmicroRNAについて検討を加える予定である。
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