2014 Fiscal Year Research-status Report
筋収縮調節タンパク質のリン酸化を指標とした酸素感受性動脈管の収縮弛緩のメカニズム
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25461656
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
竹内 大二 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40328456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 敏雄 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90120013)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 動脈管 / 平滑筋 / 収縮・弛緩 / リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は引き続き様々な収縮・弛緩の刺激を与えた胎仔・新生仔の動脈管やその母獣の胸腔内下行大動脈などの血管の筋収縮関連蛋白質のリン酸化について、フォスタグ電気泳動法を用いて検討した。 In vitroの収縮弛緩刺激を与える時間(KCLでは15分間が5分や30分よりリン酸化の変動の検出に好適)、個体差(刺激を与えないコントロール試料の筋収縮関連蛋白質のリン酸化に個体差がある)など、動物性の試料であるための結果のばらつきに悩まされつつ、ターゲット蛋白質であるミオシン調節軽鎖に加えて筋収縮制御タンパク質の一つであるヒートショック蛋白質27(HSP27)のリン酸化の検出条件を決めることができた。 本年度は、ラットに加えてウサギ胎仔・新生仔の動脈管の試料にも本法を応用して筋収縮制御タンパク質のリン酸化を検出した。動脈管と肺動脈におけるリン酸化の違いを検出することができ、日本小児循環器学会第50回年会にて研究発表した。低分子量HSPであるHSP27は、骨格筋や平滑筋に高発現し、リン酸化により収縮を調節する。酸化ストレスで生じる活性酸素種などの刺激は、HSP27をリン酸化し筋収縮を促進する。DAやPAの筋収縮制御タンパク質のリン酸化の変動は酸素感受性に関係している可能性がある。満期DAでは、HSP27、トロポミオシン 2は、周囲のPAやAoに比べて高発現であり、胎仔血管のHSP27は少なくとも2ヵ所がリン酸化されており、胎仔の成熟につれてリン酸化の割合は増加した。満期胎仔PAではDAよりHSP27のリン酸化が亢進しており、一方新生仔のPAのHSP27はリン酸化がほぼ消滅し、DAでは満期と同等のリン酸化が検出された。HSP27のリン酸化はDAやPAの収縮弛緩の傾向と良く一致しており、HSP27のリン酸化を制御するp38MAPKパスウェイがこれらの血管の収縮制御に関与している可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フォスタグ電気泳動法とその検出法には相当に熟練したが、In vitroのKCLなどの収縮・弛緩刺激を与える時間(例えば、KCLでは15分間が好適)、高酸素/低酸素刺激の時間(5分、15分など)、個体差(固体によってはコントロール試料の筋収縮関連蛋白質のリン酸化にかなりの違いがある)など、動物性の血管組織試料であるための実験方法の選択法およびその結果のばらつきがこれまでに多く検出されている。これらの事情から、結果の解釈にまだ安定性がない。
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Strategy for Future Research Activity |
動脈管の収縮弛緩を制御するターゲット蛋白質群の酸素や収縮弛緩剤などの刺激によるリン酸化の変動の検出実験法を確立するため、引き続き実験を丹念に繰り返す予定である。加えて、本計画内ではターゲットにしていなかった、平滑筋収縮関連蛋白質(例えばトロポミオシン2やHSP27)に有望なリン酸化の変動が検出されたことから、これらについても検討を進める。また、動脈管におけるリン酸化蛋白質の網羅的解析実験を本年度は実施したい。
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Research Products
(1 results)