2013 Fiscal Year Research-status Report
腎性全身性線維症における皮膚線維化、石灰化機序の解明
Project/Area Number |
25461662
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
石川 治 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90168188)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腎性全身性線維症 / ガドリニウム |
Research Abstract |
全身に線維化・石灰化をきたす腎性全身性線維症は、ガドリニウム(Gd)を含む造影剤を透析患者に使用することにより生じることが知られている。我々は、これまでにin vitroの実験にてGdがヒト間葉系幹細胞の増殖と石灰化を亢進させることを明らかにした。本研究では、Gdがヒト間葉系幹細胞の増殖と石灰化を亢進させるメカニズムや、腎性全身性線維症の病態におけるエンドセリンの役割について解析することが目的である。 まず、この系において、エンドセリンやエンドセリン受容体の発現について検討を行った。その結果、ヒト間葉系幹細胞のGd刺激によって石灰化や増殖が誘導される条件において、エンドセリンの発現も亢進していることを見出した。また、エンドセリン受容体の発現量も増加していた。これらの結果より、Gd刺激により、ヒト間葉系幹細胞からのエンドセリン産生が亢進し、さらに間葉系幹細胞の細胞膜上のエンドセリン受容体も亢進することによって、エンドセリン受容体シグナル伝達が亢進して、石灰化や増殖の促進を促す可能性が示唆された。 これまでに、MAPKのリン酸化が間葉系幹細胞の石灰化を促進させることや、MAPK阻害剤が間葉系幹細胞の石灰化を抑制することが知られており、MAPKシグナルが間葉系幹細胞の石灰化に重要な役割を担うことが知られている。そこで、我々はGd刺激によるヒト間葉系幹細胞のMAPKとAktの変化について検討した結果、Gd刺激によって、MAPKとAktのチロシンリン酸化が亢進することを見出した。 また、我々はこれまでに、間葉系幹細胞の局所注入とGd徐放化ドラッグデリバリーシステム(DDS)を用いた皮膚線維化モデルマウス、皮膚石灰化モデルマウスの作製を試みている。間葉系幹細胞とGd徐放の局所注入によって、石灰化はみられなかったものの、皮膚の線維化が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた計画の約80%は達成しており、大きな問題も生じていないため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度以降は、平成25年度に得られた知見をいかして更なる詳細な検討を行う。 また、我々はこれまでに、間葉系幹細胞の局所注入とGd徐放化ドラッグデリバリーシステム(DDS)を用いた皮膚線維化モデルマウス、皮膚石灰化モデルマウスの作製を試みている。間葉系幹細胞とGd徐放の局所注入によって、石灰化はみられなかったものの、皮膚の線維化が認められた。この実験系をさらに確立させ、腎性全身性線維症モデルマウスの確立を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた実験の一部を次年度に行うことになったため。 マウスの購入費や飼育費、実験器具等の消耗品の購入に用いる。
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