2013 Fiscal Year Research-status Report
全身性強皮症患者由来マクロファージの極性変化における転写因子Fli1の役割
Project/Area Number |
25461663
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅野 善英 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60313029)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 全身性強皮症 / 線維化 / マクロファージ / 転写因子 |
Research Abstract |
Fli1遺伝子の恒常的な発現低下がマクロファージの極性変化に及ぼす影響について検討するため、まずはじめに野生型マウスおよびFli1+/-マウスの腹腔マクロファージをIL-4あるいはIL-13で刺激して、M2型マクロファージの標識遺伝子(Fizz1, Argenase-1, Ym-1)の発現量をreal-time PCR法を用いて比較検討した。Fli1+/-腹腔マクロファージでは、IL-4およびIL-13刺激に対するFizz1, Arginase-1, Ym-1の発現量が野生型腹腔マクロファージと比較して有意に亢進していた。次に、ヒト単球性白血病細胞株であるTHP-1細胞をFli1 siRNAあるいはscrambled non-silencing RNAで処理し、24時間後にPMAで刺激し、更に32時間後にLPS + IFN-gammaあるいはIL-4 + IL-13で刺激し(それぞれM1型とM2型への極性変化を誘導する)、その16時間後にmRNAを回収し、M2型標識遺伝子の発現量を調べた。マウス腹腔マクロファージと同様に、Fli1 siRNAで処理したTHP-1細胞ではscrambled non-silencing RNAで処理したTHP-1細胞と比較して、IL-4 + IL-13刺激に対してFizz1, Arginase-1, Ym-1の発現量が有意に亢進していた。また、野生型マウスおよびFli1+/-マウスにブレオマイシンを皮下注射し、皮膚組織におけるM2型マクロファージ標識遺伝子の発現量を調べたところ、Fli1+/-マウスでは野生型マウスと比較してFizz1, Arginase-1, Ym-1の発現量が有意に亢進していた。また、THP-1細胞を用いてクロマチン免疫沈降法を行い、Fli1がArginase-1遺伝子のプロモーター領域に結合することが明らかとなった。現在、Arginase-1遺伝子に関してpromoter assayを行い、Fli1 binding siteの同定を試みるとともに、Fli1がArginase-1 promoterの活性を制御する機序について検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、in vitroおよびin vivoにおいてFli1遺伝子の発現低下がM2型マクロファージへの極性変化を誘導することを明確に示すことが目的であったが、この点に関しては現時点で達成できている。Fli1がArginase-1の転写活性を制御するメカニズムについても、現在順調に解析が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
Fli1の発現が恒常的に低下しているマクロファージのin vivoにおける機能について検討するため、Fli1 flox/floxマウスとLysM-Cre+/-マウスを交配し、マクロファージ特異的Fli1欠失(Fli1-MacKO)マウスを作成する。このマウスに対して、ブレオマイシン誘発皮膚硬化モデルなどを適用し、Fli1遺伝子を欠失したマクロファージが全身性強皮症の病態に及ぼしている影響について、さらに解析を進める。
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