2014 Fiscal Year Research-status Report
発汗異常に伴う掌蹠の難治性皮膚疾患のOCTを用いた3次元的な病態の解析
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25461664
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
西澤 綾 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, その他部局等, 講師 (30431456)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 発汗機能 / OCT / アトピー性皮膚炎 / 精神性発汗 |
Outline of Annual Research Achievements |
アトピー性皮膚炎(AD)の悪化因子のひとつに発汗が知られている。しかし、最近では成人AD患者では健常者と比較し発汗量が低いことが報告され、発汗が少ないことで皮膚が乾燥し、症状を悪化させることがわかってきた。そして、この発汗低下は自律神経系の異常であると考えられている。【目的】成人発症AD患者の発汗機能を手掌の精神性発汗で評価することとし、健常者11名(男性4名、女性7名)、AD患者11名(男性4名、女性7名 年齢22-48歳)と比較した。対象のAD患者は軽症から重症の重症度で、EASI socre 6.4-48 であった。【方法】手指指腹部の精神性発汗を掌握刺激にて誘発し、カプセル換気法で発汗量を測定した。光コヒーレンストモグラフィー(Optical coherence tomography:OCT)は手指指腹部の汗管の描出が可能であるため、5×5×5mm3;内で描出された汗管の数を数えた。【結果】カプセル換気法で測定した安静時発汗量は健常者とAD患者とで有意差はなかったが、握力刺激による精神性発汗量の変化量(誘発時Max発汗量-安静時平均発汗量)を測定したところ、AD患者ではほとんど変化がなく、健常者と比較し有意に低かった。また、OCTで描出される汗管の数は安静時で健常者と比較しADでは有意に数が少なく、掌握刺激後健常者では描出される汗管の数が増数するがADではほとんど増数しなかった。さらに、AD5例において、皮疹の経過と発汗量変化量の変動をみた。すると、すべての症例でEASI scoreでは増悪時より1/2以上軽快し、握力刺激時の精神性発汗の変化量も増加がみられたが、健常人と比較すると健常者と比較すると変化量はわずかで軽快後も有意に低かった。【結論】成人発症のAD患者では精神性発汗がほとんどみられないことより、交感神経系が過度に抑制されている状態が確認でき、自律神経機能障害が病態形成に関連していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までアトピー性皮膚炎の発汗機能に関しては機能低下が起こっていると示唆する報告はあるが病態との関連とはあまり検討されていない。 今回は、前年度の多汗症患者、健常者と比較しアトピー性皮膚炎での検討を試みた。その結果、多汗症患者、健常者ともちがう発汗形態を、従来用いられている発汗計および今回試みているOCTとで比較検討ができ、有意な所見がえられた。
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Strategy for Future Research Activity |
3次元的に解析できる画像ソフトを用いて、汗管の描出を行いv、多汗症症患者、健常者との汗管形態の比較、分布、発汗誘発前後での相違について解析する。また、描出した汗管については数値化し体積を測定、発汗量として定量化を試みる。さらに、従来までの発汗計とOCTにて検出されるデータとの相関性について考察し、今後発汗機能を計測する機器としてのCOTの有用性につき検討していく予定。
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Causes of Carryover |
昨年度は研究施設の移動があり、研究体制を整えるため期間要してしまったため、病理組織検体の染色、金属分析等を行えなかったこともあり使用予定金額より下回った結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は前年度検討できていなかった病理組織学的検討等行うほか、データを整理、分析し国内外での発表を行っていく予定。
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