2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25461667
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
松井 毅 独立行政法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 上級研究員 (10452442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諸根 信弘 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特定拠点講師 (50399680)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 皮膚 / 表皮 / 角質層 / 保湿 / 細胞 / アトピー性皮膚炎 / バリアー / プロテアーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚表皮の角質層は、保護・バリア機能・保湿などの重要な機能を果たしている。申請者らはこれまでの報告で、皮膚顆粒層特異的プロテアーゼSASPaseを欠損させたマウスは、アトピー性皮膚炎の最大の疾患素因蛋白質であるProfilaggrinの分解異常を伴って乾燥肌になることを明らかにしている。このマウスの皮膚表皮の生細胞の最上層である顆粒層(Stratum granulosum:SG)が、細胞死を伴う最終分化を行い、どのように保湿不全の角質層を形成するのかを解明することは、角質層バリアが破綻しているアトピー性皮膚炎や角化症の発症の理解に重要である。 本年度は、昨年度までに至適化した顆粒層SG細胞の分離法を更に応用し、免疫染色法を至適化した。SG細胞は構造的に多角形でありながらも横断面は鎌形をとる特徴的な形態を保持していることが明らかになっていた。本年度は、この特殊形態を維持するために、細胞を溶液中に浮遊させたまま、免疫蛍光抗体染色を行う方法の至適化を行った。また培養用のSG細胞をより濃縮するために、セルソーターを用いて、SG細胞のみを分離しようとしたが、お互いに接着が強固であるためか、分離は困難であった。そこで、微小マイクロピペットを用いて、SG細胞のみを1細胞づつ吸い上げて培養・観察を行う方法を構築した。この方法により形態学的にも典型的なSG細胞を、撮影視野の中に捉えてタイムラプス撮影をすることが可能になりつつある。一方で、CRISPR/Casシステムを応用し皮膚表皮顆粒層に特異的に蛍光蛋白質を発現させるトランスジェニックマウスを作製した。以上のように、SG細胞を分離・培養・生細胞イメージングする方法が構築された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度(H25年度)に計画予定であったSG細胞に対する免疫染色法を構築することができた。特に浮遊状態にある細胞の形態を保ったまま免疫染色を行う点が困難であったが、ブロッキング方法を工夫することによって解決できたことで、今後の細胞内構造の形態解析が容易になると考えられる。また、H27年度に予定していたマウス表皮におけるSG細胞特異的遺伝子発現を、CRISPR/Casシステムを用いて試み、予想通り高効率で皮膚表皮に蛍光蛋白質を発現できる系ができたことから、今後のSG細胞イメージング用ツールとして有用であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に、SG細胞の分離・培養・蛍光染色法がほぼ確立できたことから、実際に顆粒層~角質層に異常が認められるSASPase欠損マウスの細胞生物学的なSG細胞の解析を進めていく。電子顕微鏡解析法や蛍光イメージングなども導入して行う。特に蛍光イメージングに関しては、マウス個体の表皮組織と分離したSG細胞との対応を比べながら、どのような現象が個体と分離細胞で一致しているのかを解析する計画である。
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Causes of Carryover |
分担者への配分額に旅費と消耗品として申請していたが、スカイプや電話などで対応した部分もあり、残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度の共同研究計画の経費として使用する計画である。
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