2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25461673
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
宇谷 厚志 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10292707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍬塚 大 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90437864)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞外マトリックス / 創傷治癒 / バーシカン / トレース / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
創傷治癒において細胞外マトリックス(extracellular matrix:ECM)が盛んに合成・蓄積され、細胞成分と共同して肉芽を形成し、組織欠損部を充填し、最終的に表皮遊走を誘導し創傷閉鎖へと進む。一方、そのECM産生異常により過剰に蓄積を起こすと、肥厚性瘢痕・ケロイドとなる。本研究では創傷部位でのECM、特にグリコスアミノグリカン(GAG)であるコンドロイチン硫酸鎖を有するバーシカンに焦点を当て、創傷治癒過程での空間的・時間的発現とその機能を解析した。 その結果、バーシカンは創傷後3日目よりタンパク質として検出され、5日目がそのピークを迎え、10日目では健常部皮膚と同レベルに戻っていた。このことは、そのmRNAの量ともよい相関を示した。このことから、バーシカンは創傷治癒において、早期3日目には転写を増すことによりそのタンパク量が増加し、5日目に最も多く沈着することが判明した。また一旦治癒した後は速やかに創傷から減少し、10日目にはほぼ消失した。 次にバーシカンを発現する間葉系細胞(VMC)をトレースするためにトランスジェニックマウスを新たに作成した。本マウスを用いて背部皮膚創傷治癒実験を行った結果、この細胞は創傷治癒過程で出現し、タンパク質の挙動と同調するパターンで出現、消失していった。この細胞の由来を検討することなどを含めさらなる解析が、ECMからみた新たな難治性皮膚潰瘍治療への創薬に繋がり得ると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
創傷におけるバーシカンの変動を検討できたことと、Ver-Cre;ROSA26Rトランスジェニックマウスを用いての創傷治癒実験を実施できたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
既述のマウス背部を用いての創傷治癒実験を、例数を増やして行う。またトランスジェニックマウスを用いて、バーシカン発現細胞のトレースを繰り返し、経時的に行うことでデータを補強する。 創傷作成後経時的にサンプルを回収する。mRNAも回収し、ECM,サイトカインなどをマイクロアレイにより発現増強分子のスクリーニングを行う。 サイトカインのバーシカン産生制御:マイクロアレイにより創傷に関連するサイトカインのバーシカン発現への効果を解析する。またそのサイトカインのバーシカンへの効果はin vivoとvitroの双方の実験系で確認する。 創傷時出現するバーシカン産生間葉系細胞のトレース実験は、Ver;ROSA26Rにて行っているが、創傷時のみに限定してバーシカンを発現する細胞のトレースをするために Ver-Cre;ROSA26Rマウスを作成した。また1系統確立して、その誘導発現をみている段階であるが、今後創傷部位への細胞の出現を検討してゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後マイクロアレイを行うためのmRNA回収を創傷部位より経時的に行ってきた。アレイ実験は施行し得なかったため、H26年度以降でアレイを複数回行う。また創傷部位で変化するサイトカインをアレイにて判定したのちに、その効果をin vivoとvitroの双方で検討する予定である。このアレイが系統的に実施出来なかったことが費用の使用額が少量になった原因であり、H26年度以降に予定の費用を使用する予定である。 マウス実験ではVer-Cre;ROSA26Rマウス皮膚が、1系統を用いた予備実験を行える段階に達したところであり、複数系統を用いての実験を本格的に行うためマウス費用は増額する見込みである。
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Research Products
(8 results)