2014 Fiscal Year Research-status Report
T cell抑制因子を阻害する新しいメラノーマ治療法の開発
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25461687
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
猪爪 隆史 山梨大学, 総合研究部, 講師 (80334853)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | CD155 / メラノーマ / 免疫チェックポイント / TIGIT / CD226 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の計画は代表者が現在までの研究課題の中で発見したメラノーマに発現される複数の新規T cell抑制因子の中で、解析が進んでいないもの(CD271については平成25年度にすでに論文発表している)について解析を進めることであった。そして本年度はCD155という分子の機能解析を行い、数々の新しい知見を得る事ができた。まず、CD155はすべてのメラノーマ細胞に発現され、T細胞活性化に伴い放出されるIFNgによって発現上昇することを発見した。そしてメラノーマ上に発現上昇したCD155はT細胞上の抑制性受容体であるTIGITとの結合により、直接メラノーマ特異的T細胞を抑制することをin vitroで明らかにした。次にCD155を発現するメラノーマとTIGITを発現するメラノーマ特異的T細胞の共培養にTIGIT阻害抗体を添加すると、メラノーマ特異的T細胞の活性化が増強されることを明らかにした。さらに、TIGIT阻害抗体とともに、現在最も効果が高い免疫チェックポイント阻害薬であるPD-1阻害抗体を添加するとメラノーマに対するT細胞反応が相乗的に増強される事をin vitroで明らかにした。これらの結果は、CD155が、すでに免疫チェックポイントとしてメラノーマの治療標的となっているPD-L1と同様の性質を持つことを明らかにし、さらにCD155とTIGITの結合を阻害する事でPD-1抗体の効果を増強できることを証明した。現在、抗TIGIT抗体の臨床応用に向けて、ヒトのメラノーマ細胞とメラノーマ特異的T細胞が生着するヒト化マウスを用いたin vivo実験を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で解析すべき新規T細胞抑制分子の候補は約80個であったが、それらがT細胞抑制因子であるか否かのスクリーニングを概ね終える事ができた。そして候補分子として残ったものの中で、CD271はすでに論文報告することが出来、CD155に関してもin vitro解析はほぼ終了、現在臨床応用に向けたin vivo解析を実施中である。現在までのin vivo解析の結果はCD155-TIGIT阻害が有効なメラノーマ治療となりうる事を強く示しており、新しいメラノーマ治療法の開発という点でも目的を達成しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床応用に向けた課題はCD155-TIGIT結合阻害の抗腫瘍効果をin vivoで明らかにすることである。現在、ヒトのメラノーマ細胞とメラノーマ特異的T細胞が生着するヒト化マウスを用いたin vivo実験を実施中であり、同様の実験系で成果を挙げている慶応大学医学部先端医科学研究所、河上裕先生の協力で遂行する予定である。
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